第2話 トイレの中まで付いてくんな!
少女は言った通り公衆のトイレの中まで付いてきた。
他の利用者が少女の姿を見るなりギョッとしていた。
一緒に居る私の方にまで目を向けて鋭く睨みつけている。
誤解をされているようだが私は変態プレーをしてる訳ではない。
少女は何に機嫌が良いのかニコニコ笑っている。
そして物珍し気に、致してる男性達にもお構いなしに辺りの様子をキョロキョロと伺っていた。
「凄いな~こんなトイレがあるんだな~」
少女は男子トイレを初めてみたのだろうか?
思った以上に感動し、驚いている。
「あっ!勝手に水が流れたぞ!魔法か?」
少女はいまだに自分が勇者パーティースというタンスを崩さなかった。
しかしそれを聞いてるのは私一人で周りから見れば頭の可笑しい娘だ。
他人のフリをしたかったが、しっかりと腕を取られて離しては貰えなかった。
「おっさん…早く済ませろ…」
私は個室に入って窓を探そうとした。
「なっ!」
すると少女も一緒に個室に入ってこようとした。
ここは職場近くの公衆トイレだ。
そんな事になったら私は変態の烙印を押され会社に居づらくなってしまう。
「待って下さい!貴女まで入るんですか?」
「じゃなきゃ、おっさん逃げるだろう?」
いくら何でも年頃の娘がおっさんと一緒にトイレの個室に入るなんて危機感は無いのだろうか?
「男女が一緒にトイレの個室に入るなんて可笑しいですよ…」
「私は構わないよ…見ててやんよ…ケラケラ…」
彼女はやはり頭がおかしい。私は恐怖を感じた。
「待って下さい!トイレに行きたいというのは嘘です!」
私は観念した。
「やっぱり嘘かよ~」
今日はこの娘を会社に連れて行くしかない。会社には私個人のオフィスがある。
会社の人間に気付かれずに、そこに隔離しよう。
しかしこの決断が後に大きな災いを起こす切っ掛けになろうとは思いもしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます