祖母からの贈り物
第35話 緊急手術
二〇二〇年、祖母が脳梗塞で倒れた。緊急事態宣言が発令され、念願のオリンピックも延期が決まったあの初夏の日、祖母は働き始めた障害者支援施設に向かう途中、車の中で倒れたのだ。
朝八時のニュースが始まったばかりの冒頭でケータイ電話が鳴り、出ると母の切羽詰まった声が聞こえた。
「ばあちゃんが倒れた」
昨日までは元気だった。
県外で暮らしている私を気遣い、毎日電話をくれた。
昨日の夕方まで元気だった。
それなのに。
ひしひしと迫る不安を押し殺しながら車に乗り、祖母が搬送された総合病院に着くと、伯母や伯父が血相を変えて待合室で待っていた。
本来ならば、不要不急の県外往来は自粛されている。
ただ、この場合は決して不要不急ではないと思い、私たち家族は病院に用意された待機室で手術を待った。
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