姉の作った薬せいなのかおかげなのか……って誰が感謝するか!という物語

ゆる男

第1章…生ゴミ臭い姉の部屋にはなんと♂←こんなマークの薬があったから飲んだら男気が上がるんじゃね?という油断

第1章…


生ゴミ臭い姉の部屋にはなんと♂←こんなマークの薬があったから飲んだら男気が上がるんじゃね?という油断



俺は一人だった

孤独だった

寂しかった

友達もいなけりゃ話したこともない

そりゃ死ぬほど寂しい


今日も学校に行く

晴れて高校一年生になったが

もう夏休み前だ

誰一人俺に話しかけてくれない


「はい、じゃあテスト返すぞー」


期末テストを返却するみたいだ


「科川遥斗(カガワハルト)」


先生が俺の名前を呼ぶ


「はい…」


聞こえるか聞こえないかの声で返事をする


「おーい!科川!

またどうせ赤点なんだろー!

喋れないしヘナヘナだし、良いとこ一つもねぇなww

ぎゃははははwwww」


黙れ

いや、黙れだけじゃダメだ

ふぁっきゅー!

ふぁっく!ふぁっく!ふぁっく!ふぁっく!

おめーら全員ふぁっく!

大体喋れないんじゃないんだよお前らとレベルが合わないから喋りたくないんだよふぁっく!

死ね死ね死ね死ね!!

そんな怒りを飲み込んで

テストを受けとる


「んー科川、

お前のお姉ちゃんはもっといい点数取ってたぞ?

なんで教えてもらったりしないんだ?」


先生は俺の姉貴を知ってるみたいだ

でも比べられても困るし

俺は遥斗だからな

大体あんな変人とも比べてんじゃねーよ

先生も姉貴もふぁっく!


「はあ…」


休み時間になって深いため息をつく

なんで喋れないんだろ…

まあ友達なんかいなくてもやっていけるけどね

でも欲しいっちゃ欲しい

ふぁっくと言ったけどぼっちがいくら嘆いても言葉は届かんのだ

とぼとぼと廊下を歩いてると


【ガンっ!】


「きゃ!」


あ、やべ!

女の子とぶつかっちゃった

にしても女の子のきゃ!って声えっちだよな

いや、そんなこと言ってる場合じゃない


「すみま…」


あーれー!?

女の子は倒れてスカートがめくれてる

おパンツタイム!!!

あ!見えてる!見てない!ガン見したい!でも見れない!いや、見た!もっかい見る!


「いたたた…」


てかダッシュでぶつかってきたのそっちだし

俺は何も悪くない


「ねえ」


女の子は立ち上がる

……ちょっと待てよ…

この子……

あの不良で有名な荒井凛(アライリン)さんじゃないですかー!!


説明しよう

荒井凛さんは入学当時から不良と恐れられ

入学の日に男子生徒三人を病院送りにしたという

それはそれは怖いお方なんですよ

ヤバイ…


「ねえってば!」


「は、はい…」


「パンツ見たでしょ?」


【ギクゥ!!】


荒井凛さんは微笑んでるかのようだけど

なぜ微笑むのだ!?


「み、見てません」


「あ、そ」


そう言って荒井凛さんは

なぜか俺の近くにまで寄ってきた

なに!?怖い!


そして


【ギュ!】


は!?

荒井凛さんは俺に抱き付いた

な、なに…?

え、ちょっ!


「パンツ見て興奮したの?」


な、何を…

いや、ナニを……何するんすか!?


「しししし、してません!」


俺の目は完全にイッちゃってるだろう

興奮はしてる、

それよりも


【ドキドキドキドキドキドキ】


こっちの方が大きかった

女の子に抱き締められるなんて初めてで…


「あたしが抜いてあげるよ」


【ギーーーーーーン!!】


ドキドキで理性を保ってたけどいけないところがおはようしました!

おはようごさいます!

待て…抜くって抜くんだよな!?

こんなところで抜くなんて……!!

凛ちゃんは俺に抱き付いてるわけだから…

まずい…当たる…

そんな心配をしていると


【ボコー!!】


頬から強い衝撃がくらった


「まず謝れ!童貞!」


え?え?え?

最初謝ろうとしたのに!

まあパンツ見えたから途中で言うのやめたんだけど

あぁ、ほっぺ痛い…


「ごめんなさい」


天国から地獄に突き落とされた気がします

あぁアソコはまだ元気なままだし

一回トイレ行こう


そんな感じで…

いつもの学校生活を送っております

いつものというか今回は異例です

さて、殴られたし家に帰ろう


「ただいまー」


玄関を開けると早速

慌ただしくやかましい足音が近づく


「よう!遥斗!新作作ったんだ!飲んでみてくれ!」


相変わらず変な白衣を着て姉貴が部屋から出てきた

俺は姉貴と二人暮らしをしている

親は2年前に

この変人の姉貴に愛想尽かして田舎に帰った

姉貴は世界を代表する科学者で

常に実験をしては両親に試し飲みさせてたからな

もちろん失敗もある

育毛剤と言われ飲んだ父は

今は髪の毛もなけりゃ眉毛もない状態

ダイエット効果があると言われ飲んだ母は

家畜のようになっていた


「なに飲ます気だ!」


「来週から夏休みだし、夏休み明けたら

なんか雰囲気変わってる人いると思うんだ!

それを遥斗がやるんだよ!」


「飲みません!」


「自信作だよ!」


姉貴は失敗もあるけど

成功の方が多いから

んー飲んでやりたい気持ちはある

しかし!!信用は出来ないんだ!!


「だったら効果を教えてくれよ」


「よくぞ聞いてくれた!」


また始まった…


「この薬は男の中の男を生み出すための成分がいくつか入っており

筋肉はもちろん性欲、男性器の増量などの効果があります!」


【ドッカーーン!!】


「なに飲ますんじゃボケぇぇ!!」


話になんねぇ!

なにが実験だ!


「度胸や勇気まで作られると言ったらどうする?」


「……え?」


姉貴は真剣な顔になり


「あんた、友達いないし作ろうと努力もしないし

バカにされても睨みもしない

男じゃないね」


「なにが言いたいんだ?」


俺のこと知ったように言いやがって


「この薬が怖い?

このままじゃずっと一人だし、死ぬとき誰も悲しまないよ?」


いや、お前、悲しめよ


「お姉ちゃんはあんたのためを思ってこの薬を作ったの!

さあ!姉の前くらい度胸見せてみなさいよ!

うじ虫弱虫ダンゴムシー」


いちいち腹立つな…


「そんなに言うなら飲んでやるよ!貸せ!」


俺は姉貴が持ってる♂と書かれたビンを叩くように取る


「性欲もチ〇コも増えるなら一石二鳥だよな!

飲んでやるよ!」


やけくそになった俺は


【ゴクッゴクッゴクッ】


薬をイッキ飲みした


「ぷはー!はぁはぁはぁ

飲んだぞ…」


「よし!成長したな!

効果は明日の朝にでも出るから

夏休みをエンジョイしなさい!」


これでもう友達に悩まされることはないんだな…

ふふっ…一応感謝するぜ…姉貴


その後はなにも体に変化はなく

そのまま風呂に入り

普通にご飯を食って

テレビを見てくつろいで

そして眠りについた


もう朝になったのだろうか

身体が熱い

薬のせいか…

やっぱ男性器の増量とかもあるし…

身体も熱くなるよな…

しばらく熱いままの身体が続いた

そして、次第に熱さもなくなって

朝っぱらからの蝉の鳴き声で起きた

起きたまではよかった…

なぜだ…


それは起きてすぐわかったことだった

なんだ?洋服がブカブカだ

筋肉は?

あれ?変わってない?

いや、むしろ腕が細くなってないか?

ちょっと待て!

夏だし日焼けしてたはずだろ!

なんでこんなに白いんだ!プニプニなんだ!

おかしい…

この一言だけが俺の頭の周りをぐるぐるさせていた

なに入れやがった…あの野郎…


「姉貴ー!姉貴ー!」


俺は姉貴の部屋のドアを何回も叩いた

クソ!まだ寝てるのか?

忙しいんじゃねえのかよ!天才科学者よ!


「姉貴ー!こらー!」


【バーン!】


急にドアが開いて

俺の顔に勢いよくなんというかバーン!ってなった


「なに?誰?」


はぁ!!??


「誰じゃねえよ!

俺の筋肉ないし!なんかちっちゃくなってるし!

どういうことだ!」


「は?あんた遥斗なの!?」


なんだとー!?


「俺だろうが!声も違わないよな!?」


声は変わってないんだよ


「え…マジで遥斗なの……?」


「だから!どんな姿してるんだよ!」


それだけ見れればいい!

姉貴の部屋には全身が写る鏡があるはずだ!


「あ、ちょっと待って!

お姉ちゃんね、レポートを提出しなきゃいけないんだ

だから外出てくる!じゃあね!」


【ビューーん!!】


姉貴はパジャマのまま家を出た

逃げたのか?

やっぱ失敗しやがったな!クソ姉!

ヘナヘナな体がもっとヘナヘナになったとか?

もうどうでもいいや

俺は生ゴミ臭い姉貴の部屋に入り

鏡の前に立つ


俺は自分の姿を見て唖然とした


「う、嘘だろ…」


顔が…


髪が…


脚が…


胸が…


胸……が?



「女になってるぅぅ!!!!!」


第1章


生ゴミ臭い姉の部屋にはなんと♂←こんなマークの薬があったから飲んだら男気が上がるんじゃね?という油断


終わり!


姉貴め……とっちめてやる

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