【未完】元勇者が創った最強の魔導人形~敬愛する御主人様のために行動する、彼女達の活動~
キョウキョウ
第1話 発端
レオンは魔王を倒して、世界に平和を取り戻した勇者である。
彼は、人々を襲っていたモンスターを倒して回り、多くの村や町を救って、英雄として崇められるようになった。戦いでは一度も不利になることなく勝利して、多くの人を救ってきたのだ。それはまさに神の御業だったと、救われた人々は語る。
そして遂に、魔王との戦い。
勇者レオンは真正面から魔王に戦いを挑んで、剣と魔法を駆使して全力で戦った。多少は苦戦したものの、特に大きな怪我を負うこともなく。最終的には魔王を倒し、レオンは世界に平和を取り戻したのである。
魔王を倒して世界が平和になった後、レオンは帰りに遭遇した残党のモンスターを倒したりしながら、生まれた故郷のリマムザス王国に戻った。
王国民は、彼を大歓迎した。誰もが彼の帰還を喜び、世界を救った勇者を称えた。
「よくぞ無事に戻った! さすが勇者よ!」
国王も涙を流しながら、彼の帰還を喜んだ。
それから王宮にて、盛大な宴が開かれた。一週間ほど勇者レオンは休む間もなく、様々なパーティーへの招待を受けていた。面倒だと思ったが、これも付き合いだからと我慢して、色々なパーティーに出席していた。
その日も、勇者レオンは貴族達が集まるパーティに出席していた。
そこでは貴族の令嬢達が、彼にアプローチをかけていた。だが彼は、貴族の女性に興味がなかった。適当にあしらっていると、一人の女性が話しかけてきた。
レオンに話しかけた女性とは、王女リーシャだった。
彼女はまだ若くて、とても美しくて可愛かった。そんな彼女が自分に興味を持ってくれたことに嬉しく思い、つい彼女と話してしまった。すると彼女の方からダンスを申し込まれる。少し強引なアプローチに戸惑ったが、いい感じだったので了承した。そして、二人は踊り始めたのだが……。
「キャァァァ!?」
踊っている途中で突然、リーシャが倒れた。周りに居た女性達が悲鳴を上げる。
レオンが慌てて彼女を介抱したが、呼吸が止まっていた。急いで回復しようとしたのだが、周りに止められる。
「我が娘を殺すとはッ! 貴様は、絶対に許さん!」
国王が兵士に命令した。レオンを捕縛せよ、と。そこで彼は理解した。ハメられたんだと。何故そんなことをされたのか分からない。だが、この国王が自分を害そうと企んでいることだけは分かった。娘まで犠牲にして。
「勇者……いや、魔王め! リーシャを殺した罪により、貴様を死刑に処すッ!」
国王から死刑宣告が下された。レオンには、反論する余地も与えられなかった。
王女殺しの冤罪をかけられたレオンは仕方なく、パーティー会場から逃げ出した。彼にとって人間の兵士など、何の脅威もない。なので彼は、難なく逃げおおせた。
その後、リマムザス王国で指名手配されたレオン。嘘偽りだらけの彼に関する情報は国中に、あっという間に知れ渡った。
勇者の名を語り、多くの人々を殺してきた凶悪犯だと。
そんな出来事があったので、色々と面倒になったレオンはリマムザス王国を離れて一人旅に出たのである。
世界中を旅して、珍しい場所を観光してみたり、美味しい料理を食べてみたり、目新しいアイテムを収集してみたり、知らない知識を学んでみたり、困っている人々を助けたりしながら過ごしていた。
時にはモンスターと戦ったりもして、更に戦いのレベルを上げていった。魔王との戦いを経て、レオンは更に強くなっていた。
こうしてレオンは、一人旅を大満喫した。だけど、数十年も続けていると飽きてくる。
そろそろ、どこかに拠点を構えて落ち着こうと彼は考えた。その時に思い浮かんだのが、自分が生まれ育ったリマムザス王国。
あそこに戻ろうかと思ったら、王国は滅んでいた。
どうやらモンスターが大量発生して、討伐しきれずに滅びてしまったらしい。その他にも色々と事件が起こったり問題があったようだが、レオンの知らないうちに全て終わっていた。生まれ育った場所は、凶暴なモンスターの住処と化していたのだ。
レオンは、生息していたモンスターを倒し尽くして故郷を奪還した。
だけど、そこに人は居なかった。その周りにも、モンスターが数多く生息する危険地帯になっていたからだ。普通の人間が、絶対に近寄らない場所。
彼は、その土地を拠点にすることにした。危険だけど、逆に面倒な人間達が寄って来ないから、静かで都合がいいので。
家を建て、生活できる環境を整えた。そして、彼は暇になった。やることがなくて毎日が退屈だった。
そこでレオンは考えた。そうだ、旅している時に学んだ魔導人形を創ってみよう。暇つぶしのために、魔導人形の製作を始めたのである。
世界各地で集めた素材を使って、試行錯誤を繰り返し、学んだ知識を活用した。
かなりの時間を掛けて、ようやく完成した。見た目は完全に人間と同じだ。身体を動かすためには魔力が必要になる。それを供給するために、心臓部には魔法石を埋め込んだ。元勇者であるレオンの特別製。
レオンは、完成させた魔導人形を起動させる。
「おはようございます、レオン様」
「おはよう、アイリーン」
彼女は目を開き、起き上がってからレオンを見て、挨拶をする。人間のようにしか見えない姿、人間のようにしか見えない動作、言葉遣いで。
こうして、初めてレオンによって生み出されたのが魔導人形アイリーンである。
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