女神に好かれた男

第一章「女神邂逅」

第1話 ヤバい男

男は腰を動かしている。男はアスファルトを背にした女を抱いている。

女の太腿に張りついたままの白い下着が男の動きに合わせるかのように上下していた。女は10代半ばのようだ。

男に抵抗した際に殴られたのだろう、女の頬は赤く腫れ上がっていた。

男が行為に及んでる場所はスクランブル交差点のど真ん中だ。

行為の最中の男を取り囲むように野次馬の群衆がスマホで撮影してる。

その交差点内に群がった大勢の群衆から声が上がる。

「すっげーーマジかよ、入れちゃってるよ！」

「なにこれＡＶ？リアル？」だが男に犯されている女は

「いやーっ！見ないで！」

「やめて！写さないで！お願い！」

と、野次馬達に向かってお願いするもスマホの撮影は止まらない。

「ライブだ！ライブ！」

動画配信WoooTUBEに生配信する奴、映像を保存する奴、友人に生配信する奴と人それぞれだ。

スクランブル交差点の信号が青に変わると野次馬の群衆に向けて車のクラクションが響き渡ったが男はまだ腰を動かしている。

「やめ、て、、おなかいたい、、」

だが男は女のいうことなと気にする素振りもない。

誰かが通報したのか遠くでパトカーのサイレンが響くと男は腰を振るのを止め、

女から離れるとフルチンのまま立ち上がった。

仰向けのままの女は血が滲んだ股間をスマホで写されそうになり、

急いで足を閉じるが、ショックで直ぐにはその場を動けないようだ。

男に殴られ、赤く腫れた頬が涙で濡れている。

だが次の瞬間、青だった信号が突然赤に変わる。

スクランブル交差点に大勢いたはずの野次馬の姿がない。

まるで消えたかのように。

だがフルチンだった男は今もスクランブル交差点の中にいた。

信号が赤になり、交差点の真ん中で先程犯されたばかりの女と男がすれ違う。

だが女は男に見向きもしない。

レイプされたはずの若い女は男に目もくれず通り過ぎてゆく。

男は女を目で追いながら腰を振って女を見送っていた。