H13.2001 僕の人生

唯の人

第1話 高校卒業

R2.2020 3月 

僕は高校を卒業した。


ダイアモンドプリンセス号のニュースが流れていた時期、世間はコロナで盛り上がっている。卒業式は3年生とその保護者のみで行われた。


校長の話なげーよ。はよ終わってくれ。と思いながらも3年間を振り返る。


楽しかった。


それ以上でもそれ以下でもない。どこにでもある高校生活だったと思う。強いて言うならば、勉強しなくても良かった。もっともっと何かを残しておけば、この卒業式も感動的なものになっていたのでは。と思った。


簡易的な卒業式はあっという間に終わった。




卒業式が終わり、みんな進学の準備をしていた。

僕は公立の大学を受験していたが、見事に失敗。私立大学は受験していなかったため、先生から今後どうするのかという耳が痛くなるような電話がかかってきた。


適当に、働きますと答えた。


「そうか、分かった。」とあっけなく聞き入れられた。

浪人する選択肢を提案されなかったため、俺には大学が向いてないと先生も思っていたのかもしれない。

卒業生の中で大学にも専門学校にも進学しないのは、俺と引きこもりの友達の2人だけと先生からきいた。アイツは何をするんだろうかと思い、電話してみた。


「お前何すんの?」

「んへw えw 知らんw Youtuberなろうかなw」


なんて幸せな奴なんだ。

いかんいかん。

働かなくてはと思い、とりあえず地元の飲食店でバイトすることにした。




中高バイト禁止だったため初めてのバイト。人生初めての労働。

仕事をなめていたため、めんどくせぇなぁ。という惰性の気持ちでバイトをしていた。

しかしながら、自分のミスでこのお店の評価が悪くなると思うと、めちゃめちゃ緊張した。

人と喋るのは得意な方だが、接客となると緊張する。


ある日、トレンチにドリンクを乗せて3卓に持って行った。


ただ運ぶだけ。それだけなのに、何を思ったのかトレンチを投げ、お客様にドリンクをぶちまけてしまった。


こんなベタなミスするやついるのか。と我ながら思った。


「こんなベタなミスするやつがあるか。」どうやら店長もそう思ったようだ。




バイトで嫌なことがあってもどうでもよかった。何故なら、友達がいるからだ。

情けないミスをすればするほど話題になる。それだけで、僕の情けないミスは成仏されるのだ。


ドリンクをこぼした日、バスケに誘われ体育館に行った。

高校の同級生10人程度。

夕暮れ時、今日のドリンクの話を一流の漫才師のように話した。案の定、友達たちはケラケラと笑っていた。

今日は夢中になってバスケをした。気が付くと辺りは真っ暗になっていた。


他愛もない話をしていたが、気づけばそれぞれの進路について話していた。

各々の心境や現状を話していく中、俺の番になり、現状を話す。


「やっぱお前あほやなww」「この先どうすんだよw」「大学がすべてじゃないから大丈夫だよ」「うわー!フリーターやぁ!w」


様々な意見が挙げられた。

散々な言われ様だったが、みんなも真面目に将来のことなんて考えてないだろ。

てか、まだ18歳やし、これから何とでもなるやろがい!と思った。


最後の、フリーター!wと言ってきた奴には「お前もFランやから同じFやろボケ」と言い返してやった。





3月はひたすら遊んだ。心霊スポットめぐったり、バスケしたり、サッカーしたり、お酒飲んでみたり。ひたすら楽しかった。

もうずっとこの時間が終わらなければいいのにと思った。





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