開拓の方針
ソイルはセモリナさんと村の住人を1000人にする為の方針を検討し始めた。
「ソイルくん、外から来た人としてこの村の問題点はわかるかな?」
「一番は村の中に居ても魔獣が襲ってくることですね」
「そうね、それが一番の問題よ」
やはり魔獣が村の中まで入り込んでくるこの危険な状況が一番の問題だ。
こんな危険な村では新しい住民がやって来ても居つかないし、行商人も来やしない。
なんでこんな危険な魔獣を放置してるのかソイルには理解が出来なかった。
「ちょっとお聞きしたいんですけど、なんで村の中にまで魔獣が入り込んでくるのに放置してるんですか?」
「それはね、ソイルくん」
セモリナさんは人さし指を立てとてもいいことを思いついたように続ける。
「ごはんが向こうからやって来るなんて素敵じゃない。玄関開けたら1分でご飯! 特に寝ぼけ眼の朝には最高よ」
そのグレートボア《ごはん》に殺されそうになったソイルであった。
「せめて村の周りに柵でも作って魔獣が入って来ないようにしましょうよ」
「そうね。私たち村民なら赤ちゃんでもない限り余裕で狩れるけど、村の外から来た人にとっては脅威になるのよね」
「はい、僕もグレートボアと戦ってかなりてこずりました」
「じゃあ、柵、いやソイルくんの土魔法のレンガで城壁みたいなのを作っちゃおう」
「はい、頑張ってレンガの壁を作ります」
村の安全対策で村の周りをレンガで囲って壁を作ることになった。
「他にもあるかな?」
「この村に来るまでの道中が危険な事ですかね? 僕もこの村に来るときは魔獣が出るから危険で行けないと散々断られました」
「危険と言っても道が細いだけでドラゴンとかは出ないわよ」
「いや、魔獣が出る時点で危険すぎます」
「危ないのね……これは少し考えさせて」
こんな感じでソイルのやることは決まった。
この他にも商店やギルドの誘致をしたかったけど、それはこの二つの問題が解決してからということになった。
*
「壁ってどう作ればいいんですかね?」
ソイルが聞くとセモリナさんは斧で邪魔になりそうな木を切り倒しながら答える。
「セメントを接着剤代わりにしながらレンガを積むだけでいいと思うわ」
セモリナさんは自分の答えは一つも間違っていないはずといった感じで、清らかな瞳と自信満々の笑みで答えた。
レンガを積んでみるといい感じで詰みあがっていく。
とりあえず10メトルの横幅で試作だ。
レンガの壁の高さは50センタメトルを超えた。
「いい感じね。これならスライムぐらいは防げるわよ」
「この辺りにはスライムなんていませんよ。居るのは最低でもグレートボアです」
「じゃあ、もうちょっと積み上げようか」
レンガの壁は1.5メトルを超え、ソイルの身長より若干低い程度になる。
「これならゴブリンどころかグレートボアも防げるわ」
「そうですね。この高さなら越えてくることは無さそうです」
そういってソイルがレンガに軽くもたれ掛かると壁が……ばたんと倒れた。
一瞬で崩壊するレンガの壁。
なんでなんだー?
なんで倒れちゃうんだよ!
ソイルは素人工事の難しさを痛いほど実感した。
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