第74話 出発と仲間入り

「お世話になります!足を引っ張るかもしれませんが精一杯頑張ります!!」


 俺たちの目の前で、チユリさんが頭を下げている。


 あの後、結局、チユリさんの母親は他の獣人達が世話をしてくれる事になったようで、レイリー達も納得した為、チユリさんも旅に加わる事になった。

 ・・・なんだかみんなが俺をジト目で見ていたのが気にはなるが、理由を聞いても教えてくれない。

 なんだろう?


 チユリさんが準備をしに離れ、俺たちも出発の準備をしていると、聖獣の馬が森から出てきて近寄って来た。

 すぐに俺にすり寄って来る。

 うむ、やっぱり可愛いな。 


「俺たちはもう少ししたら出発するんだ。お前は達者で暮らせよ?まぁ、戻り次第またこの集落には立ち寄るがな。」

「ブヒン?」


 小首を傾げる馬。

 なぜだか馬の思っている事が分かる。

 聖獣だからだろうか?


「ああ、ここの獣人達は俺の作っている村で保護する事になったんだ。その場所は少し離れていてな?おそらく、これからはそんなにここに来る事はなくなるんだ。」

「・・・」


 悲しそうな気配を感じる。

 俺は馬を撫でる。


「お前、一緒に来るか?」

「っ!!ヒヒーーーーンっ!!!」


 いななときと共に、頷く馬。

 すぐに俺の顔を舐めてくる。


「ははっ!そうか。じゃあどうするか・・・この先は少し危険があるかもしれなくてな?出来れば待っていて欲しい。」

「ブルゥ!!」


 何故だかわからんが、馬の気持ちがわかる気がする。

 今のは、一緒に行く!だな。


「いや、気持ちは嬉しいが、出来れば安全なところで力を蓄えておいてくれ。なにせ、ここの獣人達と移動する時に、荷物なんかを持っていくのを手伝って貰おうと思っているからな。実は、俺たちの村には他に馬とか牛が居なくてなぁ。」

「っ!?・・・ニヤッ。」


 ん?

 なんだか、一瞬笑ったような・・・


「まぁ、とにかく、だ。また迎えに来るから、それまではのんびりしておいてくれ。」

「ヒヒンッ!」


 大きく頷いた馬。

 そうか、分かってくれたか。


「・・・シノブ、随分と馬と仲良くなったわね。」

「本当だよねぇ・・・お馬さん、シノブンにべったり・・・」

「なんつーか・・・女を感じるなぁ・・・いや、確かにメスではるんだろうけどよ・・・」

「聖獣はかなり頭が良いらしいの。知性があれば・・・感情も当然優れているの。心の機微も勿論あるの。」

『聖獣まで・・・忍様の節操無し!』


 ・・・なにやらリーリエ達がこそこそ話し合っているが、不穏な空気を感じるので近づかない。

 エルフのレガリアから教えて貰った事だ。

 気にはなるが・・・。


「お、お待たせしました!!」


 そんな中、旅立ちの準備を終えたチユリさんが走り寄ってきた。

 その後ろからは獣人達もおり、チユリさんの母親も支えられながら歩いて来ていた。 


「ああ、大丈夫だ。もう行けるのか?」

「はいっ!お世話になります!!」


 チユリさんが気合の入った大きな声を出す。


「気にしなくていいさ。」

「そうよ。一緒に頑張りましょ?」

「うん!チーちゃん仲良くしよーねぇ?」

「アタイと同じ前衛だかんな!フォローは任せときな!」

「ルールーが強くしてあげるの。目指せ獣人ナンバーワン、なの。」

『チユリさん、よろしくお願いしますね?』

「はいっ!!よろしくお願いします!!」


 ああ、いい笑顔だ。

 

「皆様、チユリをお願いします。」

「はい、一緒に旅する仲間ですから。心配は入りませんよ。」


 チユリさんの母親に俺がそう言うと、少し困った表情をする。

 何故だろう?


「・・・皆様も大変そうですね。」

「あはは・・・」

「やっぱり分かるわよねぇ・・・」

「まぁ、なぁ。」

「・・・バカ鬼の血が悪いの。」

『・・・本当にそちら方面には鈍感なのですよねぇ・・・』

「まぁ、ある意味安心ではあるのですが。それに鈍感はこの子もでして・・・」

「お、お母さん!?変な事言わないで!?」


 ・・・?

 なんでみんなチユリさんの母親と仲よさげに・・・イテッ!?

 こら!馬!

 なんで俺に噛みつくんだ!!


 すごく不満そうな感情が伝わってくるんだが!?


Pon!

 

 ん?

 なんで獲得音が・・・ってこら!噛むな!!


 俺が何かやったのか!?

 なんにもしてないよな!?


 一体なんなんだ!







 こうして、俺たちは獣人達に見送られながら獣人の集落を後にした。

 馬は俺たちの出発と共に森に消えていった。

 どうせなら、獣人達に世話してもらおうかと思っていたのだが・・・まぁ、いいか。



現在のステータス

氏名 九十九 忍(ツクモ シノブ)

種族 人間 

性別 男

年齢 18歳

状態 良好


スキル 

言語理解 状態異常耐性【中】頑強 アイテムボックス 加工 気配察知【強】気配遮断【中】体術【極】剣術【強】気功術 気闘術 魔力操作 魔纒術 New魔流術 鍛冶 風魔法【強】水魔法【強】火魔法【強】New地魔法【中】急所突き 覚醒 生活魔法 暗視 採掘 鬼神の血 魔法鍛冶 解放 


称号 

転生者 祝福を受けし者 切り開く者 勇者の子 |大物喰い《ジャイアントキリング お人好し 水中の王者 愛の伝道師 災厄を超えしもの 聖樹の守り手と共にある者 New聖獣に愛されしもの 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る