月が、落ちてくる前に。

パソコン

第1話

幼い琳明は好奇心旺盛でどこにでも行ったりすることが多かった。

そんな彼はある日、家を抜け出して町を歩いていた時に黒猫に出会う。黒猫はまるで自分を導くかのように歩き続け......。

しばらく歩いた先でとある屋敷に辿り着く。

そこには彼の両親がいた。

彼らはこの猫が連れてきたのだと確信し、感謝の言葉を伝えた後すぐに帰っていく......はずだった。

この猫の能力なのか、はたまた別の力なのかは分からないが、二人は猫を見たまま動かなくなってしまう。

それからしばらくして家の者が二人を探しに来ると、そこは血だらけになった部屋と誰もいなくなった二人の死体が発見される。

その後、この黒猫には妖力が宿っており、それを知った一族はすぐに彼女を飼い始めた。

しかし彼女は人ではなく化け猫なので、いくら大切にしても人は彼女を受け入れることはなかった――。

そんな彼女の元にも遂にその時が来た。 空が落ちてきて世界が滅んだのだ。

しかし、彼女の能力である『月が落ちていく』が引き起こした現象なのかどうかは誰にも分からないままだった。

そうして月だけが残った世界で琳明はひとり生き続ける事になるのだが、ある時、一人の女性が訪ねてきたことで物語は大きく動き出すことになる......。

琳明の出会いは突然訪れた。

その日は朝から天気も良く晴れていて風も吹いていない良いお天気だったのだが、日課となっている街の見回りを終えて帰ってきたところ、なんと庭にある大きな木の上に女の子が一人座っていたのである。

しかもその子は木の枝に腰掛けながら器用にもリンゴを食べようとしているところだったようだ。

「......なんで?」

それが琳明(りんめい)との出会いだった。

琳明はその女の子を連れて自分の家に戻ると、彼女に名前を聞いてみる事にした。

すると彼女は

「私は名前が無いのです!

ですからアナタにつけてほしいです!」

と言ったので 名前を考えることにした彼であったが、

]どうしても思いつかない。

そこで琳明は思ったことをそのまま言ってみた。

「じゃあ君は今日から“フレン”にしよう。それでどうだろうか?」

「フレンですか? 気に入りました! 私は今からフレンです!!」

「そっか......」

こうして彼女は琳明の家に住むようになり、彼に懐くようになった。

琳明はそんな彼女の事を妹のように接するようになる。

だが、彼が15歳になった時、ついに彼女と別れの時が来てしまう。

それは彼女が人間ではないからであり、また琳明もまた普通の人間ではなかったからだ。

それでも彼と別れるのが寂しかったのか、それとも離れたくないと思ったのか......。

彼女は泣きながらこう言った。

「私も連れて行ってください!! 私だってアナタと同じなのです!!!」

その言葉を聞いた直後、琳明の中で何かが壊れたような音がした。

それと同時に何かが始まるような感覚があった。

すると次の瞬間、琳明の頭の中にたくさんの情報が入ってきたかと思うと視界がぼやけていき、気がつくと辺り一面真っ白の場所にいた。 そこにいたのは自分だけだったので色々と混乱していたところに後ろから声がかけられる。

『やぁやぁこんにちは。君が私のご主人かい?』

振り返るとそこには真っ白な服を身に纏った金髪ツインテールの少女がいた。

『初めましてだねご主人。ボクはボクの事は好きに呼んでくれて構わないからね。でもせっかくだからご主人って呼ばせてもらうね♪』「あ、はいどうぞご自由に......?」

『うんうんいいよ~。あ、そうだ自己紹介してなかったね。ボクはキミたち人間がいうところの神様ってやつさ!』

「えぇ!? 神様!?」

『うんそうだよ! ボクはここでずっと君たち人間のことを見ているただの暇つぶしな神なんだよねぇ~。いやぁ面白いものが見れるからここにやってきてよかったなぁ~♪』

(いや待て、俺は別に暇じゃないけど?)

『え~そうなのかい? ちなみに今いくつだい?』

「......15だけど?」

俺がそう答えると

『へぇ~やっぱりそうなんだねぇ~! じゃあ次の質問に移るから答えておくれよぉ~?』

そう言うと自称カミサマはこう聞いてきた。

――この世界は本当に俺が知る世界なのか? と。

それに対して俺はただ一言答えた。

『うんそうだね~。ここは君の知っている地球では無いみたいだねぇ。どうやら異世界召喚されたみたいだぜぇ~!』

俺の答えに対して自称カミサマは俺の答えを肯定した上で更に俺に質問をしてくる。

――どうして俺はこの世界にいるのだろうか? と。

その問いに俺もまた返答をした。 “わからない”と。

それに自称カミサマは少し考えてから再び問いかけてきた。

――それならこれからどうするんだい? っと。

その問いに俺は......。

とりあえず自分の事を調べようと思うかな? と返した。

そんな状態で外の世界に出たら何があるか分からないしなぁ~?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

月が、落ちてくる前に。 パソコン @meganepapadoragondesu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る