第13話 スタンピード最前線
それは、本当にあっという間だった。
スケルトンのそばを駆け抜けざまに詠唱魔法剣の小太刀を振るったのだろう。
まだ何体か残っていたスケルトンが何も出来ずにそのままバラバラの骨の山とかしていく。
私も、そんなクローのあとを追いながら、魔法の詠唱をしておく。
「──実行」
宿の外でも、クローの奮迅の働きは続いていた。
見渡す限りの道という道を埋め尽くすばかりのスケルトンたち。クローの邪魔にならない範囲を、私は詠唱魔法でスケルトンたちをなき払っていく。
──クロー、すごい速さ。それに無駄がないのか、とても動きが滑らかに見える。
私も外に出てきたことにすぐに気がついてくれたのだろう。
こちらへと近づいてくるスケルトンをクローが優先的に処理してくれる。
私はそれでなんの気兼ねもなく詠唱に集中できるようになり、一気にスケルトン殲滅の効率が上がった。
気がつけば見える範囲で動くものは私とクローの二人だけとなっていた。
「クロー。おめでとう」
私は片手を前に掲げてクローに近づいていく。
私の顔と手を交互に見ていたクローが大きく背伸びするようにして、私の手にハイタッチする。
「ありがとうございます、アルマ殿。して、このあとはどうされますか」
そのクローの伸びをした姿をこっそり堪能していると質問される。
「他の戦っている人たちと合流するのは?」
「ふむ。それも一案ですな」
「なにか、クローの案も?」
「──スタンピードの主がいると思うのです。それを討ちにいくのはいかがですかな」
「スタンピードの主──」
そこで、クローが耳をすます仕草をする。
「アルマ殿、提案しておいて申し訳無いのですが戦闘の音が近づいて来ます。先にそちらへ助けに向かいましょう」
「うん、わかった。案内、お願いできる?」
「もちろんですとも。こちらですぞ、アルマ殿」
そういって駆け出すクロー。私も急ぎ魔法を詠唱する。ふわりと浮かび上がると、地面すれすれを飛ぶようにして、飛行魔法でクローの背中を追いかけ始めた。
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