第63話 第1回公式イベント-14

「おかえりなさいませ、ライブラ様」


「ただいま戻りました」


 向こうのエリアから転移して、始まる前にいた歓待エリアに帰ってきた。そこには開始前に話した運営の人が待っていた。


「お疲れ様でした。いかがでしたでしょうか」


「中々楽しかったですよ。得る物もありましたから」


「そうでしたか。お礼の品に関してはイベント終了後に《インベントリ》に直接お送りします。先程のガラス玉はイベント終了まで、そのままお持ち下さい。それでは交流エリアに戻させて頂きますがよろしいでしょうか?」


「はい、ありがとうございました」


「いえ、こちらこそありがとうございます。話題の種になって頂いたお陰で掲示板なども沸き立っておりますから。それでは、また会う機会がありましたらよろしくお願い致します」



 そうして私は交流エリアに転移した。



「うわっ、あれって」


「第2エリアの……」


「やべぇ近付かんとこ」


 予想通りだけど遠巻きに注目されてる。話題がどうとかって話してたし、私について色々話されてたのかな?


 そこはイベント後に掲示板でも見てみましょうか。今は次の第4Rの準備の方が大事ね。と言っても《無形の瘴霧》で常時実体解除出来るのに逃げる必要あるかは分からないけど。

 でも、あの鬼のことだから実体の無い相手でも普通に攻撃してくるでしょうね。《斬魄刀》なんていうスキルもあったし、それくらいは想定しておきましょうか。


 またタブレットで雑談放送が始まってるし、それでも見ておきましょうか。


『第3R勝者の皆様おめでとうございます。残り人数は24216人ですね』


『時間延長がされた所は1000人台、されなかった所は2000人台といった所でしたね。2エリアは殆ど残らなかったですけど。76人と122人ですよ?』


『あの鬼のお2人は相当強かったですねー。一応説明しますと、第1と第2エリアでは、追加された新しい鬼である彼岸の鎧武者4体の内1体が違う鬼になりました。正体は皆さんご存知の通り、プレイヤーです。あ、交流エリアにも今いらっしゃいますね』


『私から伝えさせて頂きますが、第2Rで鬼を倒した御三方全員チートの類は使われていませんからね。あのスキルと戦闘力は自力で手に入れられたのでしょう』


『皆さんの行動一つ一つがスキルを得る基準になりますから、成長の仕方も千差万別です。運営としましては、是非独自性のある成長をして頂きたい所ですね――』



『――そろそろ次のラウンドのお話でもしておきましょうか。第4Rは協力が大事なラウンドです。今までソロプレイしかしてない方も交流する良い機会だと思いますよ』


『何があるとは言いませんが、一気に人数が減るラウンドだとも思いますので是非協力をおすすめします。間違っても足の引っ張り合いはしないように』


 協力ねぇ…………一体何させるつもりなんでしょうね。プレイスタイル的にずっとソロだったけど、これを機にそういうことも考えた方がいいのかな?


「あ、いた! ライブラさん!」


「やっと見つかったか。にしても目立ってるな……」


「あ、リルさんにザラさん。何か御用でしょうか」


「御用ですよ! 一体何があったんですか、掲示板とか周りで凄い話題になってますよ! あれライブラさんですよね?」


「そんなことになってたんですか……でしたらご存知の通り、鬼の役をするよう頼まれまして」


「それは知ってますけど……とりあえずチャットでリンク送りましたから、この掲示板後で見てみて下さい。それで、これ何があったのか後で話せる範囲で教えてください!」


「構いませんが、その言い方から察するにお二人共第4Rに勝ち進んだということですか」


「いや、進むのは俺だけだな。とにかく、気になるからイベント後に1回話聞かせて欲しいんだ」


「はい……でもそこまで気になることですか?」


「友達が何か大きなことをしてたら話聞いてみたくなるものなんですよ! 私次のラウンドは探して見てますから!」


「分かりました、それではイベント後に一度会いましょうか」


「ああ、よろしく頼む。そういや聞きたかったんだが、ライブラって自分の情報どこまで出していいと思ってるんだ?」


 私の情報? スキルとかの話かな? それなら、詳しい情報じゃなければ出してもいいんだけど。


「そうですね……そもそも私が情報出して何かあるんですか?」


「そんな認識なのか。今回のイベントで色々やってただろ? どんなことをしたらそんなことを出来るスキルが手に入るのか、全く分かってないからな」


「それを聞いて同じようなスキルを手に入れたいってことですか。それならお二人に話したこと、見て分かること位なら話していいと思ってますが」


「そうか、どちらにせよ掲示板は見てみたらいいと思うぞ。世間一般の認識も知れるだろうしな」


「そうしてみます。とりあえずそろそろ次が始まるようですのでまた後程」


「ああ、またな」


『それでは、間もなく第4R、スタートです!』


 さて、協力が必要って言うなら最低限はするけど。一体次は何があるんでしょうね。

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