第47話 第1回公式イベント-1
今日はイベント当日だ。因みに今は交流エリアにいる。そういえばオープニングがタブレットで見られるらしい。
周りも賑やかだね、それにしても人はそこそこいるけど、これで参加者全員なの?
『どうもこんにちは、FIWをプレイしている皆様。私、運営のヤエと申します』
『私はミトです』
っと、始まった。2人とも随分とラフな格好をしている。男の方がヤエで女の方がミトね。
『今回は非常に多くの方が参加して頂けたようでなによりです。何せ参加者が30万を超えたとのことで』
『はい。そのため交流エリアは複数用意し、皆様が行けるエリアは1つだけにさせて頂きました』
そういうことね。それにしても30万以上とはね……正直想像以上だった。
『それでは皆様既に確認されたと思いますが、大事な所は改めてルール説明としましょう。第1~5R制となっており、30分の自由時間の後ゲーム開始です。ラウンドは同時に複数開催され、エリアは様々ですが1エリア最大5000人となっております。脱落された方は観戦を自由に出来ます。タブレット、観戦エリアでの視聴、お好きなエリアをお選び下さい。あと、掲示板は脱落されるまで閲覧投稿とも出来ませんのでご注意ください。えっと……ヤエさんまだありますかね?』
『あー、HPMPアイテムは消費してもラウンド毎に戻るってことと……あとは大丈夫じゃないかな? えー……詳細はタブレットから確認出来ますのでそちらからどうぞ。30分後から早速第1Rが始まりますので準備時間となります。私達はそれまでこちらで雑談を放送しておりますので、皆様是非イベントをお楽しみ下さい!』
だいぶ緩い運営みたいね。
さて、MP消費引き継ぎ無しって言うのは大事だ。それに、姿消したり空飛んだりするのはあの鬼にどこまで効果があるんだろうか。何より生き残るのが大事だし、安全第一でいよう。
『――――ところで鎧武者達は倒されるんですかね?』
『さぁ……イベント用に耐性99%になってますし、難しいでしょうね。そもそも攻撃が強いですし』
『倒した人が居れば特別措置を行うということですけど、何を?』
『悪いようにはしませんよ。少なくともその時点で即敗北なんてことにはなりません。それにこのゲームのスキルはAIによって作られますから、可能性は無限大です。倒せる方法を持った人がいても何ら不思議ではありません』
『へぇー…………そういえばこちらから全エリアを見られますけど、色んな格好の人がいますねぇ』
『服や防具は沢山の方が作って使ってますからね。一般常識の範疇ならデザインも自由ですし』
『特徴的な服の方も見えますね……』
『そういえば実は私たちも皆さんと同じようにゲームをプレイしてるんですよね』
『時間6倍ですからね、現実から干渉なんて出来ませんから――――』
もうしばらく雑談放送を見ていたら、いつの間にか開始直前になっていた。
『それでは、間もなく第1R、スタートです』
それじゃあ、楽しみましょうか――――
さて、始まったね。開始までの30分の間に自分の状況は確認しておこう。
スキルステータス、共に問題無し。服と装備も大丈夫。
タブレットで地図を確認する。
「やっぱり相当広いね……」
住宅街や商店街、公園、森、などがある、かなりの広域マップだった。
今は住宅地だ。鬼の開始場所は……それほど遠くない。今のうちに移動しておこう。
広さの比較によく例に挙げられるドームで言うと数百個分は余裕であるフィールドだから、移動も一々時間かかる。MPは節約しておきたいからスキルは使わない。
タブレットでは現在のゲーム情報も確認でき、鬼は20体、プレイヤーは4733人、開始までは27分だそうだ。
――うん、この辺りにしよう。
私は大通りに面した所の、とある雑居ビルらしき建物の屋上にいた。どうやら建物は全て入れないようになっているようだった。
ここなら周りに建物があって目立ちにくい上、周囲の確認はしやすい。それにビルの上ならそう登って来ることも無いでしょう、このビル外に階段着いてなかったし。私は飛んだから来れたけど。
そこでしばらく待っていると、頭にアナウンスが響く。
――第1Rが開始しました。制限時間は6時間です――
…………始まった。
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