第42話 不可侵領域の使徒
※注意:本話には人によっては不快感を抱くような描写が含まれます。閲覧の際、苦手な方はご注意ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
六天の本体らしき球体が沸騰しているかのように泡立ち、弾けた泡沫が肥大化する。
「――――――――!」
「なるほど、これと戦えってことかな?」
現れたのは本体と同じベージュ色をした、人の顔をした2m程の仮面のようだ。六天の周りに30程浮いている。
「どれどれ……」
□□□□□
潰爛-dpmmbqtf Lv.????
HP:????/???? MP:????/????
□□□□□
相変わらず何も分からない。だけど《狂化》を使ったからか、恐怖感は来ない。
「「「――――!!」」」
来たね。《密殺術》《跳躍・強》!
仮面の1つに向かって跳び、剣で切り付けてみるが、効果はない。私は跳んだ勢いのまま、仮面で踏み切り別の仮面に跳びかかる。今度は剣を突き刺してみる。すると……
――パキン!!
突き刺さった所からヒビが入り、粉々に崩壊した。どうやら刺突が弱点のようだ。
一度着地し、もう一度飛ぼうとしたところ……
「「「――――――!!」」」
仮面が一斉に叫び口を開き、私に向けて口から白い光線が発射された。
なっ……《狂風》!
危ない、姿は消えてた筈だけど位置バレてるね。
避けきった私は、もう一度跳び2つ仮面を砕いた所で……
「うわっ!!」
元々天井だった方向に引っ張られた。
仮面は浮いたままなので、仮面を足場にしながら砕きつつ床に降りた。
「ふぅ……続きと行きましょうか」
――そうして私は仮面を砕き続け、最後の1つとなった。
――パキン!
最後の仮面を砕いた。六天に何度か別の床に引っ張られて大変なことになりかけた。《狂化》は……時間的にここで解除するしかないか。
これ、やっぱり重力の操作してるよね。立方体の六面に天地の方向を変化させる、正に六天ってことかな。
「――――――!」
また沸騰し始めた。今度は何が出るの?
「「「――――――!!」」」
泡沫は今度は床に向かって落ち、人型を形成し始めた。
「今度は人……?」
最初は人に思えた。しかし、形成が進むにつれてそれが間違いだったことに気付く。
その人のようだったものは、目、歯、腕、脚、それぞれのパーツが増殖した上で、何もかもが本来あるべき部分では無い部分から生えていた。
目からは腕が生え、腕だったものは触手と化して表面が歯で覆われ、脚は3本に増殖している。そして、口だったところに大きな1つの眼球が現れて、異形は小刻みに動き始める。
「うわぁ………………」
これは酷い……最早人と形容するのは間違いでは無いだろうか。酷い生命への侮辱を感じる。
この異形は10ほど確認出来た。変貌の形は個体によって様々だ。十人十色という優しい言葉で表してはいけないような惨憺とした有様だけど。
グロテスクなものに耐性はあるのだけど、これは私でも気持ち悪い。見ているだけで異様な不快感を抱かざるを得ない。
「「「――――――!!」」」
声も何を言っているのか分からない上、耳が痛くなるような甲高い音。聞いているだけで不快だ。
でも戦わないと……《鑑定》はしないでおこう。恐怖とかで戦闘に影響が出かねない。《狂風》《命刈り》――――
――ザシュッ!
私はこの異形を一体ずつ殺していき、数が半分程になった時だった。ここまで順調に進んでいたせいで油断してしまった。
「あ…………うわっ!?」
六天の重力操作だった、それも上下をひっくり返した向きでだ。
まずい、ここは部屋の真ん中だ。壁で減速はさせられない。それに異形が近くにいる……このままだと巻き込まれる。ってこいつら、何で近付いて来れて……
「あ、やば…………」
いつの間にか、左腕が異形の体に捩じ込まれていた。段々と全身が呑み込まれていく。このまま全身が呑み込まれてすぐに死ぬだろうと思い、最後に、《閃撃》《命刈り》の一撃を入れ、《鑑定》をした。
「――――――!?」
「「――――!!」」
どうやら私を直接呑みこもうとしたやつは倒せたらしい。だが私の体はほとんどが呑まれ、動けなくなっていた。それを他の異形が死骸ごと呑みこみ始めた。
そして、《鑑定》の結果を認識した私は……
□□□□□
冒涜-nbeoftt Lv.????
HP:????/???? MP:????/????
□□□□□
闇の中で狂気に溺れて、意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます