第19話 魔法への手がかり

 次の日……


 さて、今日もログインっと。ちゃんとダンジョンのセーフティエリアに――


「うおっ、ってあんたか」


 っと、《恐怖の瞳》忘れてた。両目で見ないように…………あ、この人昨日のヤンキーだ。


「何の用でしょう?」


「用も何もねぇよ。昨日あの後どうしたのかは気になるが聞く程じゃあねぇし。その服の有様から見るに死に戻りしたか?」


「何ですか、失礼ですね。探索した後、階層変えてからまた探索して帰りましたよ。得るものもありましたし」


「得たものってのはそのチョーカーってとこか? まぁフロアを下げたのはそりゃそうかって感じだな」


「はい? 何て言いました? 何か言いたいことでもあればどうぞ?」


「あー…………昨日は変に絡んで悪かったな。まぁ俺は行くわ。そんなにそっぽ向いてるんだし、望み通り離れるわ」


 ちょっと違うように思われてそうだけど、どちらにせよ離れてくれるのは助かる。


「そうですか、では」


 そうして私もダンジョンを離れ、暫くあてもなく歩いて行った。



 こっちの方は人居ないんだね…………

 正直あのダンジョンに篭っても飽きかねないので外に出てみたけど、どこに向かうかを全く考えていない。それに《恐怖の瞳》に関しては何も解決していないし、それに装備品――魔道具か。これの問題も解決させないと。


 あ。鏡って空き家のガラスが鏡みたいになってるからそれでいいじゃん。


 このチョーカーの見た目とか確認しようとしていたのを思い出した。


 さて、適当な民家の庭の窓で、と。どれどれ…………



 色々とツッコミどころ満載だった。

 チョーカーに関しては特に問題無かった。自分で言うのもあれだが、結構似合っていると思う。


 問題がまず服。ゾンビと人の返り血でかなり赤黒くなっていた。因みにゾンビの血は元から赤黒かった。このままじゃただの不審人物だ。あのドレスを詳細が分かる前に着るのは気が引けるし。拠点に帰って着替えようかな?


 それと問題もう1つ、目だよ! どうしてこうなった!


 《恐怖の瞳》の影響か、赤1色だった私の目に紫色が追加されていた。外側の赤から中央に向かって紫になっていく、奇妙な見た目になっている。


 これは…………隠しようがないんじゃないかな? もう恐怖を付与することを気にしないなら、気も楽になるけど。

 うん、そうしよう。【恐怖・弱】程度でビビるならそれまで! それで大丈夫な人ならドンと来い!

 よし、この精神で行こう。



 それじゃあ……一旦拠点に帰って着替えたほうがいいよね。

 今回が帰還の羽初使用だ。えーっと、これを持って帰るように念じると…………って、もう拠点の中じゃん。一瞬で別の場所に行ける、か…………これ普段から拠点に限らず使えないかな?


 よし、また1つ目標が増えた。


「転移を出来る魔法を使えるようになる」


 そもそも魔法スキルを使えないのに何を言ってるのか、って感じだけどね。どうすれば使えるようになるんだろうか…………掲示板で探してみようか。



 なるほど、ボスクラスの魔物を倒すと稀にスキルロールなる物を手に入れることが出来て、それで自分と相性のいい魔法を習得出来る、と。

 因みに1人で属性を多く使おうとするほど威力が下がるから、使うのは2~3属性で抑えた方が良いらしい。


 ってことは、ダンジョンから出たの失敗だったかな? でもゾンビから手に入る魔法ってそんな強く無さそうだし、まぁいいや。


 他にこの地域にダンジョンって無いのかな? ちょっとザラさんとリルさんに聞いてみようか。フレンドのチャット機能から送っておこう。ログインしてるみたいだし、そのうち返事来るかな?



 来た、早い。えっとどれどれ……

『1つなら知ってますよ。ちょうどそこに行こうかと考えてたところなので、もし良ければ一緒に攻略しませんか?』


 へぇ、そういえば私他人が戦ってる所ちゃんと見たことないね。知らない情報も得られそうだし、是非お願いしよう。

 あ、《恐怖の瞳》は……会った時に説明と相談しておこう。


 ひとまず、その辺の旨を書いて送っておく。


 えっと、待ち合わせ場所が前の公民館で、時間は……今出ればちょうど良さそうだ。


 さぁ、新しいダンジョンだ! 願わくば、スキルロールが手に入りますように。それと、《恐怖の瞳》のせいで断られませんように!

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