第19話 自分に気づかせてくれた

「おい落ち着けよ。どうしたんだよ」




「私わかったんです。あの時、きっと私はうつ状態で、限界だったんですよ!だから、会社辞めたんだと思います!」




「はぁ。花宮。そんなこと、みんなわかってたぞ。」




「え。どういうことですか?」




「あのなぁ、花宮は、当時、見るからに疲れてた。課長もさすがに、花宮に仕事任せすぎたって気づき始めたんだ。でも、花宮は、大丈夫です。の一点張りで、俺らは見ていられなかったよ。」




「私は、そんなに突っ走っていたんですね…」




「そのことに本人が気づいていなかったってことが、1番の驚きだよ。」




「私は、飲み会を境にうつ病になっていたということでしょうか…?」




「多分もうその前からだろうね。だんだんため息が多くなってきていたから。それでも、花宮は大丈夫ですって言ってたんだ。」




「そうでしたか…自分のことなのに全然気づいてなかったです。」




その日は呆然とすることしかできなかった。




自分はうつ病だったのか。


働きすぎていたのか。


なんで自分のことなのに気づかなかったのだろうか。


そんなことがぐるぐると頭を回っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る