第10話 ニートに戻りたくない
私は3日間、会社を休んだ。
さすがに会社の人には嫌な顔をされた。
どうせ私の仕事なんて、代わりはいくらでもいる。
3日間のうち、一度しか外に出なかった。
外に出た時も、深く帽子を被り、メガネにマスク、いかにも不審者じみた格好で、すれ違う人たちは皆、私を避けた。
その光景はまるで、何年も前の私の中学生時代を思い出させた。
誰も私に寄りつかない。
私はいないように扱われる。
そんなこと、当時は慣れていたのに、なぜか、今思うと、とても悲しかった。
いつからこんなにも人が恋しくなったのだろう。
ゲームをしても、テレビを見ても、心は沈んだまま動かなかった。
もう、涙も枯れた。
胃も気持ち悪いし、身体は鉛のように重く感じる。
私は人生最期に少しだけ夢を見られたのかな。
神様は意地悪だなぁ。
私はずっと辛かったよ。苦しかったよ。
だけど、耐えてきた…
耐えてきたのにどうしてなの?
もうニートにはなりたくないよ。
私は他の人みたいに、ちゃんと働いて、立派な人間生活を営みたいよ。
ガサガサな声で、いるのか、いないのかもよくわからない神様に訴えた。
変わりたい。
変わりたい!
変わりたい!!
変わりたい!!!
この日は数年前にもらった睡眠薬を飲んで寝た。
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