第13話 覚醒
《大世門》
クリスタルフラワーが輝き花を咲かす。その輝きに一つ目大蛇は怯み、後退りをしていく。
「すごい魔力量。」
「力が漲ってくる。」
さらにクリスタルフラワーは8人の疲弊した魔力を回復をさせてくれる。それだけではなく今まで感じた事のないほどの魔力量が体内に流れ込んでくるのがわかった。
「これならいける、"大治癒功:超再生"」
リュウジの手の平から流れる魔力がヒサシの体をみるみる再生させる。一瞬の内に傷が塞り傷跡も無くなっていく。
「田中、ありがとよ。親友を助けてくれて。」
「あん?俺はコイツに男を見ただけだ。それにこれは俺の力じゃねぇ。」
「そんな事ねぇよ。何があろうと助けてくれたのはお前に変わりはねぇ。」
ダイハチはリュウジに手を貸そうと伸ばす、リュウジはダイハチの手を握り立ち上がった。そこには今までいがみあっていた2人の姿はなかった。
「何か知らないけど、力が漲ってくるわね。ヒサシの借りは返さないと私は気が済まないわよ。」
「ひまわりの溜まりに溜まった最大火力くらいなさいよ。」
「この力、、今ならあの技を。」
「何これ、視える。私には周りの未来が。」
「やられっぱなしは趣味じゃねぇんだよなぁ。」
「親友やられて黙ってるわけねぇだろうが!」
「みなさんに祝福を"聖女の願い"」
7人にテレスの強化魔法が入る。それを合図にそれぞれが動き出した。
「みんなに私の思考と目を貸すわ。相手の少し先の未来と赤く光るところが弱点よ。」
一つ目大蛇はテレスに対して尻尾のドリルでまた迫ろうとしている。しかしそこにリュウジが一瞬で飛びかかって来た。
「今までにないくらい体が軽いぜ。ここが弱点なんだろ、大人しくやられてろ"
ギャアアアアア!!
リュウジの一撃に大蛇の硬い鱗に覆われた尻尾は真っ二つに切り裂かれる。次に一つ目大蛇はラフレシアの蔓をリュウジに向け伸ばし絞め殺そうとしてきた。
「我が武に眠る英雄よ、今ここに顕現せよ。『真田幸村』」
ダイハチの全身が赤備えの具足を纏っていく。頭には六文銭の家紋が宿り、背中には戦国の英雄『真田幸村』の影が見える。
「しつこいんだよ、消え去れ花!!"獄炎大車輪"」
ダイハチの十文字槍から繰り出される炎の渦がラフレシアの花と蔓を全て焼き払う。
苦しむ一つ目大蛇にレイドが追撃の一撃を与える。
「この剣に我が魂の全てを捧げる"
黒い巨大な剣がレイドの上に現れ、一つ目大蛇の胴体を切り裂き上半身と下半身を半分にする。
「超集結、超収束、超集中、大宇宙の輝きをここに集え"
ひまわりの杖から出る大魔法が一つ目大蛇の下半身を塵へと変える。
「これで全部終わりよ"天竜拳奥義・無限竜星拳"」
空へと飛び上がるマオから放たれた無数の竜の拳が一つ目大蛇の上半身を消しとばしていく。原形も残らぬ程の拳の連打が襲う中、一つ目蜘蛛が姿を現わし戦闘から離脱していこうとしている。
「どこに行くんだ一つ目。」
逃げていく一つ目蜘蛛の前に、再生したフーバの翼を借りたヒサシがいる。
「もう、お前を無理に追うのはやめる。いくらでもかかってこい、来る度に蹴散らして必ずアイツに辿り着いてやるよ。」
さらに逃げていく一つ目蜘蛛にヒサシがトドメを刺しに行く。
「現れろ【天風の精:アフロディーテ】」
現れたのはフィアの最高到達地点である天風。黄金に輝く風の女王が空の全てを包み込む。
「"ゴッドブレス"」
風の女王が放った神の息吹は一つ目蜘蛛を跡形もなく消し飛ばす。その風はヒサシを縛る過去も共に流していくようであった。
ヒサシは地上に降り立ち、そこには6人が駆け寄ってくる。さらにマオとテレスは泣きながらヒサシに抱きついてきた。
「よかったよおおおおお、ヒサシぃーーー。」
「私、私どうしようかと、天城さーん。」
「うぷ、2人とも、死ぬ、、」
2人の豊満な胸に押しつぶされそうになるヒサシをみて周りの4人にも笑顔がある。そこには大世門に来る前のわだかまりは一切感じられない。
レイドも遠巻きで見ているだけだったが、察したリュウジが肩を組んで連れてくる。不服そうな顔をするが満更でもなさそうだ。
レイカが持っているクリスタルフラワーはいつのまにか輝きを失い蕾となっている。
「よしっ、じゃあ帰るか。」
ヒサシ達8人は誰一人欠けることもなく現実世界に戻るのであった。
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