待ち合わせの階段

ゴロゴロ卿

待ち合わせの階段

 初めての待ち合わせは境内へ続く石段の一番下

 まだ高校生だった二人の淡い思い出


 二回目は雨の日

 少し神様を恨みつつ石段を数段上がった場所で彼を待った

 それは単に車道からの水しぶきを浴びないためだったのに……


 三回目は前回よりもう数段上で待ち合わせた

 それは彼からの提案で何となく嬉しかった


 それから何度となく待ち合わせをした石段

 待ち合わせ場所は次第に上へと登っていく


 お互い大学を出て就職しても実家を離れなかったから待ち合わせはいつもここ

 必ず遅刻してくる彼への当てつけに遅れた分だけ階段を降りることにした

 だからなかなか境内までたどり着けない



 今日の待ち合わせは彼の希望で石段を登り切った境内

 やっぱり時間通りには来ない彼


 見下ろせばそこで待ってて、降りてこないでと叫びながら必死に駆け上がってくる

 今日ばかりは上で待つことにした


 やっと登ってきそうなので数歩下がって登場を待つ

 でも最後の段を上り切ったと思ったら盛大に頭から滑り込んだ


 そして胸元から転がり出た真っ赤な四角い箱

 私の足元まで転がってきて止まる


 拾い上げて開けようとすれば彼は慌ててまくし立てた


「それ俺のだ。返してくれ」


「いやです。絶対に返しません。あなたともども私のものです」

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待ち合わせの階段 ゴロゴロ卿 @Lord_Purring

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