第20話 大躍進
春原くんと話し合った後、他の4人も俺に鍛えてくれとお願いしてきた。彼らは、次の戦いで勝利するため真剣に強くなりたいと考えていた。チーム全員が大会に参加するつもりで腕を磨こうとし思っているようだ。
プロ野球の試合で忙しい俺は、なんとか時間を調整して彼らを鍛えていく。僅かな時間で、どんどん成長していく彼ら。大会のときに比べて明らかに強くなっていた。心の底から本気になった証拠だろう。
その状況を知った代表の中西さんは、彼らを大会に参加させるために色々と調べてスケジュールを組み立てた。夏休みの期間中ならば、学生である彼らも参加できる。
ポーランドで行われた大会に比べたら規模は小さいけれど、海外の有名なチームが参加している大会に彼らも参加を申し込んだ。ドイツとデンマーク、イギリスなどで行われる大会に次々と挑戦した。
その結果、夏に行われた大会で優勝、3位、優勝という結果を残すことが出来た。
初めての大会は、あっさり優勝することが出来た。特に苦労もなく、相手チームを倒して順調に勝利。作戦もバッチリはまって、連携も上手くいった。実力を発揮して思った通りに勝てた。
3位になった時は、西木くんが調子を崩して上手く戦えなかった。他の皆も、一度優勝できたということで慢心していたようだ。勝てるはずの勝負で負けてしまった。まだまだ課題が残っているのが分かった大会だった。このタイミングで負けることが出来たのは、運が良かったのかもしれない。まだ若い彼らは今回の経験を活かして、更に強くなれるはずだ。
そして、二度目の優勝を果たした大会ではポーランドで戦って負けたチームと再戦した。優勝した彼らと、別の大会で再び戦って勝つことが出来た。そして今度は優勝することが出来た。やはり、実力では彼らに負けてない。その勝利は、自信に繋がる勝ちだった。次は、ポーランドの戦いで勝って優勝する。
ヨーロッパの数々の大会で活躍してきた彼らは、海外のメディアで注目を集めた。何度かインタビューも受けて、ゲーム関連の雑誌にいくつも記事が掲載された。
春原くんや萩山くんは、その若さと腕前の高さから海外のゲーマーに人気だった。他の三人も名を知られるようになって、この夏の活躍でチームセブンはとても有名になっていた。
だけど、日本では何の反応もなかった。驚くぐらい何も、世間のリアクションなど無かった。
チームセブンの代表である中西さんが知名度を上げようと、色々と頑張っていた。だが、なかなか思うようにいかない。海外の大会で優勝した、という実績をアピールしても、興味を持ってくれる人が居ないらしい。
実力のあるメンバーが揃っていて、十分な実績もある。残念ながら、それだけでは日本で注目してもらうには足りないらしい。
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