第16話 5月のゲーム大会

 オープン戦が終わり、レギュラーメンバーが発表されてシーズンが開幕。本拠地の球場で試合を行い、地方の球場へ遠征したりもする。


 もちろん、移動する時にはゲーム機とパソコンは絶対に忘れず持っていく。宿舎やホテル生活でも、ゲームをプレイする時間は欠かさない。


 4月には25試合が行われた。結果は、20勝4敗1引き分け。連敗がほぼ無く、順位も首位を独走。非常に好調な滑り出しとなった。チームの皆や監督の機嫌も良くて、雰囲気も最高だった。このままシーズンが終わるまで首位独走を続けたい。


 そして、5月。初旬の試合は本拠地の球場で行われる。球場を訪れるファンの数も増加して、試合も盛り上がる。


 ゴールデンウィークの期間は、球場に試合を見に来てくれるお客さんも多かった。彼らの応援を聞いて、テンションが上がる。


 その影響なのか、俺の個人成績も非常に調子が良い。打率が三割を超えて、打点も稼いだ。ホームランも何本か打てた。そして、守備も完璧にこなせたと思う。




 自分の試合は順調だったが、気になるのはチームセブンのメンバーが初めて挑む、ポーランドで行われるゲーム大会の結果について。


 ゴールデンウィークの期間に行われる大会に参加するため、彼らが予定通りに出発したという情報は聞いていた。その後、どうなったのか詳細は分からない。向こうで彼らも戦っている。


 大会の結果に関しては、彼らが戦いを終えて日本へ帰ってきてから教えてもらうことになるだろう。ネットで調べてみたら、情報が出てくるかもしれない。けれども、自分で調べる気はなかった。彼らが戻ってきて本人達の口から直接、どうだったのか聞きたかった。


 だけど、気になる。勝ってほしいが、どうなるのか。彼らの実力は十分に通用すると思う。オフラインの大会という環境で、戦えるかどうかは少し不安だった。


 優勝してほしい。大会に向けた練習の努力が実を結んでほしいと願っている。だが勝負は時の運でもある。勝てるかどうか、本当に分からない。だからこそ、優勝する可能性も十分にあると俺は考えていた。これは、期待しすぎなのだろうか。


 一週間ほどで、彼らは日本に戻ってくる。その時に大会の結果が分かる。気持ちを切り替えて、俺は自分の試合に集中しよう。彼らなら大丈夫だと信じて。

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