第11話 学業も大変
「すいません、こんな時間に付き合わせちゃって」
「俺たち受験の勉強で、この時間しか無くて。でも、どうしてもグラスさんと一緒に遊びたかったから!」
「いやいや、大会の練習でしょ?」
「そうだった。それも大事だね」
金戸くんから誘われて、組谷くんも一緒に三人でパーティーを組んでオンラインで戦う。今の時間は22時を過ぎていた。これから24時まで、一緒にゲームをする。一応、大会の練習も兼ねて。
高校生の二人は受験勉強で忙しくて、限られた時間でしか練習できない。二人とも大学進学を目指していて、冷静に将来のことについて考えていた。
大会優勝を目指して、貴重な時間を使ってチームの練習にも参加してくれていた。だから俺も、彼らに付き合う。
「大丈夫だよ。今の時期なら暇だからさ。いくらでも君たちの練習に付き合うよ」
「やったー! ランキングトップに君臨しているグラスさんの腕前、俺たちに見せてくださいよ!」
いつものように楽しそうな声で、お願いしてくるを金戸くん。彼の素直な反応は、不快な気持ちにならない。いいよと、快く答えたくなる雰囲気だった。
「ありがとうございます、グラスホッパーさん。おい、ロー。流石に失礼だろ」
「いやだって、バイソンだって見たいだろ? グラスさんの実力を、さ」
ゲームプレイの最中は、彼らもお互いをプレイヤーネームで呼び合う。金戸くんがキル・バッファローという名前。組谷くんがキル・バイソンというネームでプレイをしている。親しそうに、ローとバイソンなんて呼び合っていた。
「そりゃあ、見たいよ。トップクラスのプレイヤーの実力は。だけど、礼儀ってものがあるだろ」
「チームなんだから良いじゃん。しっかり仲良くしようぜ」
「ああ、そうだな。俺も、気軽に接してくれると嬉しい」
「そうですか? グラスホッパーさんが、そう言うなら」
「ほーら! グラスさんも、そう言ってるよ! 無礼講だよ、無礼講」
「ウザっ。そんな奴は放っておいて行きましょう、グラスホッパーさん」
微笑ましいやりとりをする二人。そんな感じで、試合が始まった。
「よし、今日も勝とう! とりあえず、エイムの調整から」
「おいおい、試合中に調整するのか? 事前にやってないの?」
「大丈夫だって。この試合中に完璧に準備するから」
「まじかよ。なら、突っ込むなよ。って、オイ!」
「はい、1キルゲット! って、うわぁ!?」
「油断するなよ、ロー。敵のカバーが居るぞ」
「た、助かった! ありがとう、バイソン!」
「お礼はいいから、集中しろって」
「大丈夫。グラスさん、残りの敵は頼んます!」
「ああ。こっちは任せろ」
楽しそうに会話しながら、敵を倒していく様子を観察する。キル・バッファローの金戸くんは、調子を安定させるのは難しそうだ。だけど、気分が乗っている状態なら試合で大活躍してくれそうな強さがある。
キル・バイソンの組谷くんは、仲間のカバーが完璧。そして、前線に出ても戦って勝てる実力の持ち主。調子も安定している。危険な場面でも落ち着いて対処できそうで、非常に頼もしい。
「うわ! マジ!? グラスさん、それで敵を倒すの!? すげぇ! 今の見たかよ、バイソン!?」
「見たよ! 本当に凄い! レベルが違うね」
「君たちも練習すれば出来るようになるよ。それで、さっきの試合についてだけど」
「教えてください! 俺、グラスさんのように強くなりたいです!!」
「俺も! うわぁ、時間が全然足りないな」
試合が終わって、反省会も行う。彼らの時間は限られているので、俺は集中して色々と教え込んでいく。
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