第8話 チームの目標

 チームセブンというプロゲーマーのチームと契約するにあたり、代表の中西さんと何度も会って話し合いを行った。その話し合いの中で俺は、ゲーマーを集めたプロのチームを立ち上げた理由や彼の目標について聞かせてもらった。


 中西さんもゲームが大好きで、とあるゲームを遊んでいた。その頃、そのゲームで超凄腕の友人が居たらしい。その人は、海外の大会にも出場して優勝した経験があるほどのプレイヤーだったらしい。名前を聞くと、俺も知っていたプレイヤーだった。


 だけど、そんな凄腕のプレイヤーが引退することになった。そのゲームを引退することになった理由は、仕事に集中しなければならなくなったから。生活するために、ゲームを遊び時間が無くなったという。


 その話を聞いた中西さんは、もったいないと思った。とんでもない腕前を持つプレイヤーが引退しなくて済む方法は無いのか。どうにかしてゲームプレイでお金を稼ぐ方法は無いのか考えた。


 そして、プロのゲーマーを成立させるためにチームを立ち上げた。 


 現在、日本では賞金の出るゲームの大会などが非常に少ない。それに比べて海外はPCゲームが人気で、ゲーム大会が数多く開かれている。賞金も数百万から数千万、それ以上の金額を出している大会もある。


 まずは世界で戦えるプロゲーマーを生み出す。世界大会で優勝して、世間の注目を集めること。それが、チームセブンの目標だという。


 チームセブンが多くの人たちに知られるようになって人気になれば、日本でもプロゲーマーのチームも生まれてくるはず。


 自分たち以外にも挑戦するプレイヤーが集まってくるはず。そうなれば、日本でも大会が開かれる機会も多くなるだろう。チームセブンの考え方を周りに広めていけば、業界の発展を促すことが出来るはず。それが、中西さんの目標らしい。


 俺も、中西さんの考えには賛成だった。日本でもプロゲーマーが誕生して、多くのゲーム大会が開かれるようになったら嬉しい。


 


 チームを運営するために、中西さんが金銭面で苦労していることも知った。そこで俺は、チームセブンに出資することを決めた。プロ野球選手として稼いできた金や、他にも投資などで稼いできた資産が十分にあったので。


 出資する話を持ちかけると、中西さんから非常に感謝された。そして、選手としてではなく、役員になってくれないかと相談された。だけど俺は、大会に出るつもりでチームセブンに所属することを決めていたので、その話は断った。

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