第6話 夢中の二人
「強すぎるよ! どうやったら、そんなに強くなれるの?」
「プレイスタイルの差かな。攻撃的な君に比べて、俺は防御型だから。このマップは防御側が有利ってのもあるから」
何試合か続けて対戦した後、試合の内容について春原くんと感想を言い合う。彼は悔しそうな表情だが、強くなろうと必死に頑張って俺の話を聞こうとしていた。
「全然、中央から突破できなかった。どうすればよかった?」
「他のプレイヤーと呼吸を合わせて突撃するべきだったね。少し、突出しすぎているから、他が遅れてしまっている。それで、カバーが間に合っていない場面が多いな。突破しようとする意識は良いけれど、ダメだった場合の次の一手が必要だ」
「うーん、そっか。難しいなぁ……」
彼の成長に役立ってほしい。そんな気持ちを込めて、色々とアドバイスしていく。そして、春原くんも繰り返し質問してくる。
「さっきの弾を避けたキャラの動かし方、どうやるの?」
「それは、こうやって、こう」
「えー! ズルっ! そんな方法ありなのかよ!」
「これを使えば、周囲の索敵も出来るから便利だよ。使えるように練習しな」
「こう?」
「そうそう。上手いな」
「よしっ! じゃあ、今度こそ勝つぜ。勝負だ!」
「オッケー」
そして、また勝負を始める俺たち。春原くんは早速、教えたテクニックを駆使して戦闘を仕掛けてくる。しかも、ちゃんとコントロール出来ている。習得する早さに、俺は驚いた。やっぱり、若い子の成長のスピードは半端ないな。教えてすぐに使えるなんて。春原くんのゲームセンスも高いのだろう。
だけど、まだまだテクニックは数多くある。技術だけでなく、作戦パターンも多く用意してある。だから負けない。俺も大概、負けず嫌いだからな。
こうやって、誰かと面と向かってゲームを楽しむのは久しぶりの感覚だった。最近はオンライン対戦ばかりで、顔の見えない誰かと勝負していたから。それも楽しいけれど、やっぱりオフラインの良さもある。顔が見えて、相手の感情を直接感じることが出来る。
しかも、年の離れた少年とゲームを楽しむなんて。必死に立ち向かってくる、彼の若々しい熱量、勝ちたいという気持ちを受けてワクワクしている。
俺だって負けないぞ、という感情にさせてくれる。とても、良いな。
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