迫り来る雲。それは、

影神

静寂



ある頃から。どうしてか、、


雲の形が、女性の顔に見える現象が起き始めた。



今日はそれを友人と見に来た。



季節は変わりゆくのに。


まだ、空いっぱいに広がる入道雲は健在で。


蝉も一生懸命に生きていた。



友人「確か、、あそこら辺かな?


この団地は因みに心スポらしいよ?」



金の掛からない遊び。



見た目は普通の団地。


公園があって。白い棟が、4棟見える。



今居るこの場所は、少し登り坂になっていて。


木々の隙間から見えるモノは、手前から。


フェンス。木々。公園。団地。空。雲。


の順で見えていた。



友人「アチッ、、」


室内の蒸し暑さよりも。


カラッとしていて。


でも、本場ではなく、少し秋の香りが漂い始めていて。


どちらかと言えば嫌いじゃ無かった。



友人「どう?


何か見えた??」


「いや。」



ビビりの癖に。


昼間だからと言って、来た。



夜なら絶対行かないだろう、、


ただつるみたいから。



日頃の愚痴を言って。


自らの環境の不便さを。傷を。


こうやって舐め合って。



理不尽な世の中を、こうして生き抜いて行くんだ。



友人「公園の駐車場に停めて来るわ。」


「わりいね。」


友人「何か見えたら教えて?」


「あいっ。」



独特の。


生活感の漂う臭い。



このままずっと。


こうしていたい。



そんな気にもさせる。



チリーン、、



僅かな風に、何処からかの家の風鈴が鳴る。



聞こえるのは友人の車の音と。


鳥の鳴き声。



知らない世界に来てしまった感。


そこにぞくぞくとした寒気を覚える。



ゆっくりと奥の方の空から、何かが。


来る。



ゆっくりと。


こちらの方へ。



それは、話題の女性の顔だった。



フィクションの創作物かの様に。


CGでもない、それは。


確かに目の前に浮かび上がった。



表情は、正に。


悲痛な叫びを訴えているかの様だった。



言葉を喪った。


圧巻された。と言うべきだろうか、、



大きな。


女性の顔に。


一体。何を思ったのだろうか、、



恐怖。


いや、可哀想だと思う気持ち?



友人「どう??


何か見えた??」


「今、、丁度。」


友人「マジかよ。。


また見れるかな??」


「ここに居れば見れるかも。」



服をパタパタとさせ、暑そうにする友人。


「ジュース買ってくるわ。」


友人「俺も行くよ。」


「いや。


買ってくるよ。



なに飲む?」


友人「炭酸系がいいかな?」


「無かったら?」


友人「コーヒーで。」


「甘いの?苦いの?」


友人「任せる。」


「了解。



丁度、団地の隙間の空辺りから。


こっちに向かってくるよ。」


友人「あい。」



シャツを脱ぎながら、上着をフェンスに掛けていた。


衣替えも、まだ微妙な所だ。。



あの現象が一体何だったのか、、


何を意味するのか、、



理解を示さなくてはいけない事から背く様にして。



与えられただけのモノで今を満足する。


ピッ、、


ガタッ、、



「、、お待たせ」



友人「何かが、来る。」


「タイミングバッチリだな。



はいっ。」


友人「、、ありがとう。」



喉が渇いていたからか。


目の前に飲み物があったからか。


それとも、、



これから起こる現象に。


思わず唾を飲み込んだのか。。



再び現れたそれは。


決して愉快なモノでは無かった。



彼女は。


一体何を言いたいのだろうか、、



そして。これから。


何かが起こるのだろうか?









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迫り来る雲。それは、 影神 @kagegami

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