第9話 八

 さっきの巨乳美少女が部屋に飛び込んできた。


「じゃあ、また明日ね」


 アナトはそう言うと巨乳美少女に頭を下げて部屋を出て行った。ちょっ! 待てよ!


「ミーナ、今の誰?」


「え、えーと……と、友達?」


 これが一番、無難な答えだよな? そう思い、巨乳美少女を見る。すると、なんだか今にも泣きそうな顔をしていた。あれ? 俺、なんか間違った? どうするべきか悩んでいると、いきなり巨乳美少女に抱きつかれた。顔を胸に押しつけられて、息が出来ない……。


「よかった……。ミーナ、友達いたんだ……」


 え? 何? 俺ってここでも友達いなかったのか? ってか、それよりも苦しい……。柔らかくて気持ちいいんだけど、でも、苦しい……。


「く、くるし……い……」


「あ、ごめん! またやっちゃった」


 またってことは、いつもやってるのか? この身体の持ち主、もしかしてこれで死んだとかじゃないよな?


「さっきのお友達、名前はなんていうの? この辺では見かけないけど……?」


「え? あ、名前はアナト。最近、引っ越してきたみたいで……」


「アナトちゃんね。今度はいつ来るの?」


「明日、また来るって……」


「明日か……」


 巨乳美少女が何か考え込んでいる。というか、この人はこの身体の主とどういう関係なんだろう? お父さんとか言ってたから家族だと思うけど、お姉さんでいいのかな……?


「あの、お姉さん?」


 戸惑いながら声をかけてみると、巨乳美少女が目を丸くした。


「どうしたの? そんな風に呼ばれたのって始めて」


「あ、ごめんなさい……変だった?」


「変って言うか、いつもナーナさんって名前で呼ばれていたから、なんだか新鮮!」


 嬉しそうに、ナーナさん? がまた俺の顔を柔らかい胸に押しつける。


「く、くるしい……」


「あ、ごめーん」


 柔らかい殺人兵器から逃れた俺は、深呼吸をして酸素のありがたみを味わう。


「もう、嬉しすぎて……つい……」


 それにしても、この身体の元の持ち主ってどんなだったんだろう? なんか友達がいなさそうみたいだが……。でも、こんなに心配してくれるお姉さんがいるから、俺のところみたいに家族仲が悪いってわけでもないよな? というか、俺の家は俺のせいなんだから自業自得ってやつかな……。


「あ、あのね」


 何か真面目な顔でナーナさんが話しかけてきた。


「え? なに?」


 少し、緊張した感じで答える。


「お……」


「お?」


 ナーナさん、深呼吸。なんだろう? 何かヤバイことかな?


「お姉ちゃんって呼んでくれる?」


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