第3話 二
なにこれ!? ちょーやわらかいんだけど? さっきの巨乳美少女ほどじゃないけど、けっこう胸大きいよな? たぶん大きい? 初めて触るから他と比べられないし、よく分かんないけど……。そして、次は指を動かしてみるにチャレンジしてみようと思う。ただ触っているだけでも柔らかくて気持ちいいい感触だが、指に力を入れて揉んで見ると更に気持ちよくなれるに違いない。って、あれ? その場合の気持ちいいってどっちだ? 手の感触? それとも、一応、女の子みたいだから俺が気持ちよくなるのか?
ヤバイ……なんか緊張してきた。少し、指先に力を入れるだけだっていうのに、なぜかそれが難しい。長い時間? のような気がするけど、たぶん短い時間、俺は言うことを聞かない指先と戦っていた。そして、深呼吸をして気合を込めたとたん、大きな音がしてドアが開いた。
突然の大きな音に、俺の手が胸から離れる。思わず視線を向けたドアのところには、赤い髪のすらりとした少女が立っていた。さっきの巨乳美少女とは別人だ。誰だろう? そういえば、さっき家族が帰ってきたみたいなことを巨乳美少女が言ってたよな。もしかしてあれ、母親? 十代にしか見えないけど、夢ならなんでもありだよな? でも、なんというか……可愛そうな胸の母親は、ちょっと嫌かも?
「秋鹿蒼真!」
「はい!」
突然、名前を呼ばれて反射的に返事をする。あれ? 俺、ミーナとかいう名前じゃなかったっけ? それとも、夢の中だからやっぱり色々とごちゃまぜなのか?
「いいか、よく聞け」
「はい」
「お前はもう死んでいる」
「はい?」
「いや、正確には死んでいない」
あぁ、この唐突さは夢ならではだよな。それにしても、異世界転生ものにはよくあるパターンだよな。もっと、オリジナリティのある夢を見ろよ、俺。
「死んだけど死んではいない」
微妙に美少女、略して微少女? が言葉を続ける。なんか、どっちなんだよ! と思わず突っ込みを入れたくなるな……。
「あーまぁなんというか……その……」
「というか誰?」
いきなり現れて変なことを言うちょっと微少女に問いかける。
「あ、アナト」
「アアナトさん?」
「アナトよ!」
アが一つ多かったか……。
「それで、そのアナトさんが何の用でしょうか?」
一応、今は女の子みたいなので、それっぽく話してみる。俺、なかなかいい演技じゃね? というか、この様子じゃどうやら母親説は消えたみたいだ。後は妹説とかもあるけど、それも違うよな。
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