第12話

「それで アサミは何してたんだ?」




実は迷子だなんて恥ずかしくて言えないアサミは ダリアさん達も冒険者ギルドに行くんじゃないかと


ちょっと期待して言ってみた。


『アサちゃん 地球から来たとか言ったらダメだよ おかしい子だと思われるからね 違う大陸から来てこっちについたばっかだから


この大陸用の身分証明がほしくて冒険者ギルドにいくとかいっときなぁ』




「実はですね。私の出身 この大陸じゃないので 身分証明に使えないみたいで 冒険者ギルドいくとこです」




「おお そうか んじゃ案内してあげるよ。」


「行きますわよ アサミ!私達に任せるのですわ!」




なんとか冒険者ギルドにつきそうだとほっとしたアサミだった。




朝も9時を過ぎて 段々人が増えてきて町が賑やかになっていく。


朝帰りかわからないが フラフラしてるあまりきれいな恰好ではない男がウロウロしていた。




『アサちゃん あれ あの男怪しくないかぃ?』


「ほぇ?なんかわざとらしく人にぶつかりそうにしてるね。」


『犯罪者かもしれないね。鑑定してみたらどうだぃ?』


「OK でも私戦えないんだけど 捕まえれるかなぁ」


『嬢ちゃん達にお願いしてみなぁ まずは証拠だね』




【鑑定】発動




名前 スリザリン 年齢 43


LV5 種族人間


犯罪歴 スリ38件 痴漢7件 暴行3件 






(偉いスッキリした鑑定結果だなぁ。私が知りたい事だけその場で適当に抜いてるのかも。


もしかしたら 過去とかも見えるのかなぁ このスキル 使いようによっては危ないかも。)




『アサちゃん 鑑定は相手の過去も暴く可能性があるねぇ その鑑定後で調整しときなぁ


もしうっかり鑑定して本人の前でしゃべっちゃったら捕まっちゃうかもしれないしね。』


(うん でも これでこの男が犯罪者だってわかったね。あとは現行犯で捕まえると。)




と その時 その男は酔っぱらった振りして 出勤途中らしき女の人に抱き着いて胸に顔を埋めて


スゥハァスゥハァと 息を吸っていた。


気持ち悪い。




「キャアアアアアアアアアアアアア」




『アサちゃん!!』




「おいっ 何の騒ぎだ!」


「なんですの!?」


ブチッ!!!!


アサミは気づいたら【転移】で一瞬のうちに男の横に飛び 女の人に手を触れ ダリア達の前に転移させた。


そして 男の金的に蹴りをいれた。


男は口から泡を吹いて 失神していた。




お知らせ:レベルが4上がりました。新スキル 【完全隠蔽】空間魔法 【影縛り】を習得しました。




(あれ? なんかゴミが倒れてる。ばあちゃん 何があったの?レベルのお知らせも出てるし。)




『アサちゃん 覚えてないのかい?すごい速さで痴漢を制圧してたんだよぅ?ちょっと ばあちゃんもびっくりしちゃったよ。』




(え 覚えてない。これ私がやったの? 確かに気持ち悪いって思ったけど・・。


無意識でこれやったって怖くない?)




『アサちゃん アサちゃんは立派なことしたんだ。心配するんじゃないよ アサちゃんが間違ったことしたら ばあちゃんがちゃんと怒ってあげるからねぇ』




(ありがとう ばあちゃん・・ 自分が自分じゃないみたい ちょっとショックだよ・・)




『だいじょうぶ だいじょうぶ アサちゃんは悪くない』




実は アサミは電車で何回もしつこく痴漢をされて男性不信に陥ったことがある。


無意識で金的をするようになったのは電車の中で 泣いて泣いて とうとうブチ切れてクズな痴漢男には金的するようになっていた。その間の記憶は本人は覚えていない。記憶を消すという自己防衛が働いてそのまま電車から降りている状態だったからだ。


その痴漢男は常習者だったので 倒れてる男を知っていた電車の乗客が通報したのでアサミは知らないうちにその男とは会わなくなっていた。


しかし 今回の痴漢男が目の前に倒れていたのを見て アサミは自分が手を出した事に恐怖したわけだ。




『アサちゃん とりあえず嬢ちゃん達に任せよう』




アサミはちょっと混乱しているようだが


なんとかダリアに話しかけるのだった。


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