第6話

朝5時 ばぁちゃんの朝は早い。


まぁ ばぁちゃんに睡眠は必要ないのだけれども。


朝起きて ばぁちゃんは宿の中を散歩していた。


ネトゲーマーでなろー系のばぁちゃんは 宿で何か問題がありそうだとか


他の冒険者の情報だとか 朝のメニューはなんだとか 色々調べてみようとワクワクしていた。




「ふんぬ ふんぬっ」


『なんだろうねぇ 裏の庭のようだけど 声がするねぇ ふんぬふんぬ』




そこでは ちょっと筋肉質な20代半ばの褐色のヒューマンの女性がビキニアーマーで腹筋をしていた。


「ハッ!殺気っ!」


『ムムッ この子 できるねぇ』


「なんもいない 気のせいか ふんぬっ」


『見えないはずの私に気づくとは 冒険者ランクAはありそうだ』




『フッ リアルでは初めて見たよ ビキニアーマー アサちゃんにもおススメしようかねぇ』




ばぁちゃんはその後 腹筋 剣術 ランニングをする女剣士を見学して




食堂エリアに来てみる。そこでは20代くらいの女性が二人でパンとスープを作っていた。


「お母さん パンこのくらい?もうちょっと作った方がいいかなぁ?」


「昨日からの若いお嬢ちゃん 昨日何も食べないで寝ちゃったみたいだから 朝は多めでいいんじゃないかしら?」


「ああ あの子ね ミミのお気に入りの子 可愛かったわぁ あーゆー子大好き。」


「うふふ いっぱいおいしい料理食べさせてあげましょう!」




『いい親子だね アサちゃんも気に入るといいねぇ』




『あれでお母さんなのかぃ 私も異世界ウサ耳に生まれたかったよ』




ちょっと異世界転生したいなぁっておもうばぁちゃん




次に向かうのはお風呂場であった。


かわいい孫が覗きとかの被害に合わないようにしっかりチェックしなければならない。


女性専用宿なだけあって お風呂も広めで清潔なようだが 何かが足りない。




『これは 手で押すとお湯が出る魔道具みたいだねぇ 便利なもんだ。念動力がないと


使えないのはちょっとめんどうだけど安全確認よし。』




現代日本に住んでたばぁちゃんがお湯が出るだけの魔道具になにをいってるんだとアサミが聞いたら


いいそうだ。




『石鹸とかシャンプー リンスがないねぇ やはりこの世界ではあまり出回ってないのかぁ』




ばぁちゃんも気づいた通り この世界では石鹸は高級品 シャンプーリンスなどのヘアケア薬品は


ほぼ ないのである。




『これは 売れるね』




ばぁちゃんはこれからの孫との老後はこの世界の文化をアサミが苦にならないように助言するのが


役目だと来た時からずっと考えていた。


『アサちゃんは頑張り屋さんだし 私が死んだ後も苦労しただろうしねぇ 今度の人生ではずっと笑っていてもらいたいもんだ』




自分が死んだ後の事はあまりアサミは言わないけれども、やっぱり孫とばぁちゃんは似るようである。アサミが8歳の時にアサミの父母が交通事故で死んだあと ずっとアサミはトキから離れなかった。アサミの絶望したその姿がずっと頭から離れない。


『ミュー様 今世はアサちゃんの為に生きます。こんな機会をくれてありがとうございます。』




涙を流しながら宿の散歩を終え アサミの部屋に戻る。




「ばあちゃん・・・いなくなったと思った。」


と 泣きながらトキに抱き着くアサミ 異世界転生したのは自分だけだと思ったのだろう。


その姿はひどく絶望したあの時のアサミにそっくりだった。


『アサちゃん おはよぅ ばぁちゃんは消えやしないよぅ 散歩行ってたんだよ そこでこの世界の欠点が見つかったよ』




「欠点?シャンプーとかリンスがないとか?」




















『わかってたのかぃ・・』








と ちょっとドヤ顔したかったのにできなかった寂しそうなトキがそこにいた

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