島崎さん、今日も依頼は失敗ですか?
庭くじら
第1話 ここカフェだよ?コーラなんてあるわけ無いじゃん。
「猛暑だ。」
太陽という名の宿敵に身体中の水分を吸い取られる…。助けてくれ。助けて。助けろ。
だんだん乱暴になって最終的に僕のケツを蹴り飛ばした彼女は島崎さんという。
白いシャツに黒いベストで黒斑の四角いメガネのお姉さんだ。
「ちょっと蹴らないでくださいよ。痛いんですから。」
「大丈夫だ。安心したまえ私は剣道はやっていたが、キックボクシングやサッカーはやっていないから君を蹴り飛ばしても消し飛ばしたりはしないのだよ。ははは。」
楽しそうに蹴り飛ばしてくる。
「でもそんな事してると逆に体力使いますよ。
早くどっか店入って休みましょうよ。」
「そうだな。君はどこがいい?
乙女心を理解できるか試してやろう。」
「え、島崎さんに乙女心とかあるんですか?」
「はい、アウト。」
「痛」
僕を蹴り飛ばす。
喧嘩とか弱いんだろうな僕。腰から崩れていったし。
「いてて。蹴らないでくださいよ。」
「今のは君にも非があるだろ?」
「はぁ、じゃあ言い直しますよ。乙女心ありありの純情可憐な女の子ですね。」
「痛」
蹴り飛ばされた。
「何故だ。」
「うそっぽい。」
しかめっ面でそんなことをのたまう。じゃあどうすりゃいいのよ。
「ってそんなことやってないで早く店決めましょうよ。」
「じゃあ早くエスコートしてくれよ。」
「えぇぇー。」
こんな具合にグダグダ行動する。
いつも通りすぎてもう最近は気にしなくなった。彼女の蹴りもね。
多分累計足蹴り回数はそろそろ三桁に上るんだろうけど…。うわ、自分のことながらゾッとするな。
三桁になるまで蹴られたやつとかもう骨格曲がってるだろ。笑えねぇ。
結局無難におしゃれそうなカフェを見つけて突っ込んでいった。
入った途端に涼しげな店員さんに嫉妬したけどね。特に島さんね。
もう直接言ってたし。
「客より涼しそうな店員なんて無礼だろ」って。
何も頼まずに入ってきた瞬間にクレーム飛ばす方が無礼だと思うけどね。
店員さんは「申し訳ございません」って一言謝罪して僕らを案内してくれた。
慣れているのかもしれない。
3桁ほど蹴り飛ばされている僕と可哀想レベルを比較したらどっちが上なのかなとか純粋に気になった。
シマザキオを適当に椅子に座らせてメニューを眺めずにコーラ二つを注文した。
一回やってみたかったんだよね。
メニュー見ずに頼むやつ。
そしたらシマザキオはコーラやだって言って
「私が炭酸嫌いなの知っててやってんだろ」とか睨まれるし、店員さんは「申し訳ございません。ここはカフェなのでコーラありません」とか言われちまった。
きゃー恥ずかしい。もう黙ってますね。はい。将来の夢は地蔵です。
普通にアイスコーヒー2つを注文完了した。
「え、コーラ?あるわけないじゃない。ここカフェだよ」とかひとり阿呆な妄想してると
怪しげな男が1名様ご来店してた。
黒スーツにサングラスの男はいかにもって感じ
僕らの対角線上の席でコーラを注文したりはしない。もうしろよ。ってかしてくれ頼む。
島崎さん、今日も依頼は失敗ですか? 庭くじら @aobahagoromo
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