オモテウラ
美月
ウラ
20時36分
ふぅ‥今日は早く寝てくれた方だな。
世界で一番愛おしい二つの寝顔を見つめながらため息が漏れる
布団の上で散り散りになった小さな体を中央に並べてタオルケットをかける
おやすみなさい
いい夢を‥
‥そして私は手帳型のスマホケースを開く
−Mさん、はじめまして!
プロフィールをみて気になったのでメッセージさせてもらいました。
自分も既婚です。良かったら仲良くして下さい!
どんなお相手をお探しですか?
好奇心と少しの不安を抱きながら
彼のアイコンをタップする
マスクをして海を見つめる横顔の写真が大きく画面にうつる
ふーん、40代半ば‥結構歳上だなぁ‥
あ、でも身長が高めで体型はがっちり‥
さわやか系
悪くないかも?
この手のサイトの
自身の見た目を評価する項目は
信用に値するものなのか?と疑問は抱きつつも
ついついチェックしてしまう
彼のプロフィール画面を見ながら
私を見つめる目、耳元で囁く声、体に触れる感覚を勝手に妄想すると
足の指の先がじんわりと熱くなってきた
オレンジの灯りが
ぼんやり光る寝室の天井を見つめて
目を閉じる
体の奥から
女としての私が這い上がってきて
母としての私はだんだんと沈んでいった
その沈んだ先で
妻としての私はいつも膝を抱えてうずくまっている
−Tさん、メッセージありがとうございます。
既婚者同士、程よい距離感で仲良くなれる方を探しています。
よろしくお願いします。
さて‥
この彼はどんな裏の顔をもっているのだろう
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