モリハウスのショートショート

モリハウス

#1 鉄の心

「苛々するのは分かるけれど大概にしなさいね」

辻田は僕に説教をするのが数少ない趣味の一つだ。そして、また他の数少ない趣味と言えば、オイシイチャーハンを作ることであった。非常にチャーハンを作る技術に長けていて、毎日更にさらにと鍛錬を続ける。僕たちのこの職場が昼の休憩時間になって、みんなが食堂へ向かう少し前に、辻田は1人コツコツと高いヒールを鳴らしながら厨房へ乗り込む。そして、調理師でもないのにチャーハンを炒めるのだ。


素早い中華鍋捌きに圧倒され、やはり眉間にシワが寄ってしまう。

苛々とする。ああ、痛い痛い。


「もう少し優しく出来ないものかね。」

「私は一切妥協しないのよ、オイシイチャーハンの為ならね。」

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