オリジナル童話集

セイカ(ペンネーム:はすみん)

「たぬきとゆきんこの雪ちゃん」



むかしむかし、北国のある村に雪ちゃんという


とてもかわいい女の子がいました


雪ちゃんはお父さんもお母さんもいないので、村の人といっしょにくらしています


そんな雪ちゃんは一人でおるすばんする事が多く、今日もひとりで遊んでいると


ちいさなたぬきが、あらわれて、とてもお腹をすかせています


「なにか、たべるもの、ありませんか?」


「たぬきさん、お腹空いているの?ちょっと待っててね」


さっそく雪ちゃんは、おうちにあったとうもろこしを、たぬきにあげました


すると、たぬきはとてもよろこんで食べてくれて、それから、


ふたりはとても仲良しになり、よく遊ぶようになりました


でも、そんな時、そのようすが村長さんにみつかってしまい


「雪、たぬきなんかと遊ぶんじゃありません!」


と叱られてしまいます


どうやら、昔、村長さんはわるいたぬきにばかされて


たぬきの事がだいきらいみたいです


なので、このあと雪ちゃんはたぬきと会えなくなり


とてもかなしくなって、ないてしまいました



それから、しばらくして、今年も冬がやってきます


この年はとても雪が多く雪ちゃんはたぬきの事を心配して外をみていました


すると、久しぶりにたぬきが雪ちゃんの前にあらわれ


「雪ちゃん、たいへんだ、もうすぐおおきななだれがくるよ

村の人におしえてあげて!」


と知らせてくれました


雪ちゃんは慌てて、村に言ってまわり


みんなが逃げおえた頃、たぬきの言う通りおおきななだれがきて


村はいっしゅんにして、のみこまれてしまいました


幸い、たぬきのおかげで村の人はみんな助かり、


村長さんも、お礼が言いたいといっていってくれました


でも、そのなだれのあと、たぬきは姿をみせなくなったのです


村の人は、「かわいそうになだれにまきこまれてしまったのかの」


とうわさをしていて、雪ちゃんはとてもかなしくてまた、ないてしまいます



それから、季節は春になりました。この年の冬はとても長く4月もおわりになってもまだ寒い日がつづいています


おかげで、春をつげる桜も今年はまだ咲いていません


この日、雪ちゃんは村の人にたのまれて、つくしや山菜を探していました


すると「たいへんだね、おてつだいするよ!」とあのたぬきがすがたをあらわしたのです


雪ちゃんはとてもよろこびました


たぬきは、寒い冬をしのぐため、少し南の村で暮らしていたそうです


雪ちゃんはうれしくなって、踊りをおどりはじめました


「たぬきさん、またあえて、とってもうれしいよ」


「うん、ぼくもまた雪ちゃんに会いたかったよ」


たぬきもうれしくなって、一緒にぽんぽこ、おどっています


すると、なんということでしょう


ずっと咲かなかった桜が、あれよあれよと咲いていきます


それは、みたこともないとてもきれいなお花でした



おしまい

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