コミカライズするなら感想 その1

これから、1日 3話前後を目標に感想をUPしてゆきます。

僕自身が闘病生活中で体調がまだ万全でないため、多少遅れるかも知れませんが、なんとか9月26日のTwitter、スペースのディスカッション前には応募者様の作品感想を書き上げたいです。

できれば・・・もう一回募集して、あと数作品感想を書いてみたいのですが、今日も情けないことに発熱でダウンしてしまったので。

ホント、なかなか上手くゆかないものです。


ではでは、言い訳はこの辺りで終了して、感想です。





● 第一会場 2 錬金術師の紡ぐ旅。

<作者様からのコメント> 主人公のキャラクター性にご注目頂けたら。


まるで宝石の原石のような作品でした。シチュエーションとしては、旅の始まり。

物語は主人公である少女が、神秘領域と呼ばれる禁断の地を目指すところからスタートしています。キャラクター造形も世界観も練り込まれていて、小説の書き出しとしても素晴らしいです。あちこちに作者様の才能の片鱗が見え、ワクワクして読むことができました。

もし僕がこの作品のコミカライズ企画でネームを書くのなら、キーとなるこの『神秘領域』のビジュアルをバックに、主人公である少女の『冒険への思い』をモノローグで語る部分からはじめます。

そうすれば、主人公の魅力をもっと読者にアピールできそうです。

この手の冒険漫画のセオリーは、『冒頭で主人公は宝の地図を手に入れる』です。ワンピースなら、ひとつながりの宝物という情報ですね。

そこに「海賊王になる!」という主人公の行動原理が提示され、読者も魅力的な主人公と一緒に冒険の旅に出ることができます。

まだプロローグの途中な印象を受けてしまうのは、そのせいではないかと。ここを上手くまとめれば、漫画としても物語が動き出すのだと思います。



● 第一会場 12 豊穣のぬりかべさん

<作者様からのコメント>  重いテーマをコミカルでコーティングしています


テーマもとても素晴らしかったです! 主人公が農家をついだ気持ちが上手く表現されていて、物語への強い没入感がありました。

シチュエーションも面白く、のどかな田園と、ちょっとズレたコミカルなAI農機具? のギャップでしょうか。ここを上手くビジュアル化できれば、コミカライズも成功するのではないかと感じました。

ラストの「ぬりかべさん」の登場と、ヒキも良かったです。

ヒキ(漫画の場合は、ページをめくらせる、次話を読ませるため等の仕掛けとして、謎や期待を含んだヒキと呼ばれるものを定期的に入れることが重要です)が強い作品は、やはり多くの読者に支持されます。

次話がとても期待できました。



● 第三会場 13 三文小説家、華の帝都の闇に墜つ


主人公の行動原理であるテーマが、まずかっこ良い! 『畏れは人の根っこだよ』は、とてもCoolなセリフでした。

その後の展開もサスペンスやスリラーのセオリーどおり、死体が転がってくるところなどツボを押さえた進行で、読者を飽きさせないところも素晴らしかったです。

コンセプトは菊地秀行先生や夢枕獏先生の伝奇小説のようで、コミカライズ受けもするはずです。時代設定や登場人物の台詞回しも素敵でした。

ビジュアル化する際の最大の悩みは、ヒロインの「探偵」でしょうか。読者層を何処に絞るかで、ヒロインのビジュアルは変えるべきでしょうから……その辺りを作中でもっと明確(どんな読者に、何を伝えたいか)にすると、漫画作品としてのアピールが強くなるのではないかと感じました。



● 第四会場 16 花旦秘華物語 ~後宮で国一番の女優を目指します~

<作者様からのコメント> "中華後宮ものは一定の需要があるとは考えていますが、題材的に(衣装やアクションなど)コミカライズしづらいかも、と懸念しています。その辺りにコメントいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。"


まずご質問の答えから。

キャラクターの容姿や服、アクセサリーや小物、世界観まで……ビジュアル・デザインは原作者が作る「キャラクターシート」や「設定資料」がスタートとなります。

それを元にデザインが入り、編集さんや原作者のOKが出て、初めて作画作家さんがネームを書き始めます。

このキャラクターシートや設定資料が何処まで書き込めるかも、漫画原作の場合は原作者の実力のひとつとなってきます。

ご質問にあったとおり中華後宮ものは人気のジャンルです。得意とする絵師様や作画の先生もお見えになります。アクションも同じで、このようなパターンを得意とする作画の先生も多いです。なのでコミカライズしづらいと言うことはないでしょうが、問題は原作者様のイメージに合うかどうかではないでしょうか。

そこは、何処までキャラクターシートや設定資料が書けるかによって変わってきます。小説を書くのと同じぐらい、このキャラクターシートや設定資料も奥が深いです。是非挑戦してみてください。


作品の感想ですが、主人公の行動原理「女が女を演じて~」は、とても素晴らしいと感じました。特に今の時代、女性層の読者から共感を得られると思うのです。また漫画としてのビジュアル展開も、華があるアクションが多くて、表現がダイナミックにできるのも魅力的です。

中華後宮のトレンドも上手く取り入れているので、僕個人としては、一度ネームを書いてみたいな。と、思える作品でした。

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