今回の感想のポイント
では今回の感想を書く上でのポイントを、実際に最近のヒット異世界漫画を例に、冒頭で何が必要なのかを考えてみました。
先回の企画趣旨とかと重複しますが、例をあげながら……うーん。なろう系コミカライズが良いと思うのですが、ここではあえて、超人気異世界漫画を例にしてみます。
しかもタイトルも出しませんし、肝心のセリフやシーンもわかりやすくアレンジします。ややこしくてごめんなさい。まあその……大人の事情だと思ってご理解いただけると嬉しいです。
まず『主人公という名のテーマ』(創作などの基調として、その全体を通して表わそうとした考え、思想、観念)
例として漫画2作品の、物語冒頭(第一話のクライマックスで)主人公が何を求めているのか、セリフで表現するシーンをあげます。
1> 魔王を倒した勇者一行の魔法使い(長命なエルフの少女)が、
『なんでもっと、人間を知ろうと思わなかったのだろう』と、涙を流すシーン。
2> 異世界から帰ってきたおじさんが、
『そんなことより、ゲームハード競争でSE●Aはどうなった?』
と、自分を見捨てようとしていた甥に、問いかけるシーン。
この一言で、どんな主人公が、何を求め、何をする物語なのかがわかります。
1>は、王道とも言って良いファンタジー。
2>は、異世界転生ものをパロディにしたコメディ作品ですが、
セリフだけでも内容が想像できるぐらい、テーマが「わかりやすく」「一貫して」「強く」「読者が共感できるもの」です。
そこに付随されるシチュエーションが、
1>勇者の葬儀
2>何もない病室
となっています。もうね、これを華々しく冒頭に持ってくるだけでもすごいセンスなのですが、読んでいてあまり違和感を感じないところも素敵すぎました。
世界観の設定をどうしても作家は作り込みたいところですが、こういった共感できるリアリティのあるシチュエーションの連続が、『ビジュアルとしてのコンセプト』(概念:テーマを実現させるための手段)を強く表現させます。
嘘は大きなところでつくべきもので、細かなところこそ真実味を持たせることが、物語に読者を引き込むコツだと、僕は考えています。
なので『ビジュアルとしてのコンセプト』のポイントは、壮大な嘘と、緻密でリアリティのある世界観がシチュエーションとして両立しているか。が、ポイントなのだろうと。
また、よく漫画やラノベでは、キャラが立つ(はっきりとした個性が確立されていて、他よりも目立って見える。 個性が光る。)ことが大切だと言われますが、これに関しては……ちょっと僕は懐疑的です。
最近は、むしろよく他作品でも使われてきた、読者が共感しやすいキャラの方が強いのじゃないかとすら考えています。
例にあげた人気漫画2作品でも、「人の心を知らないクールな美少女エルフ……でも、ちょっとドジ」や「実は凄い元ヒキコモリ系ゲーマー」は他作品でもよく見掛けるキャラですし、そこには目立ったビジュアルや取り立てた個性もありません。
個性として光っているのは主人公の行動原理……つまり、テーマです。そしてそれを彩るコンセプトとしてのビジュアルが、差別化をもたらすのではないかと。
個人的な意見ですが、こういったテーマやコンセプトを冒頭で出せる作品は、やはり漫画作品として強いと感じています。
今回の感想企画では、この辺りをポイントとして、どのような強さが書き出し祭りの作品に、どのように仕込まれているかを、書いていけたらと考えております。
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