漫画原作と小説の違いと類似点

<初めに自己紹介がてら>


今回の企画趣旨である「コミカライズするなら」では、小説としての文章表現や作法の感想ではなく、漫画としての表現から小説を読む「感想」に主眼を置きます。


何故そんな事をするのか? ですが……。


僕の場合、過去WEBで連載した小説が、幸運にもいくつかコミカライズの打診を受けました。その際、漫画の編集者様から、

「漫画にするなら~」という、ご意見をいくつかいただきました。


これが現在、小説を執筆するに当たっても、大きな肥やしになっているからです。


また実際にコミカライズの企画や作業を行う際、あまりにも自分が不勉強だったため、当初は多くの方に迷惑を掛けてしまった苦い記憶もあります。

まあ、いまだに迷惑は掛けておりますが……。


そこで一念発起? して、地元の漫画学校に通い、ネームの描き方や漫画制作アプリの使用方法まで、一から勉強し直した経緯もあります。


それらを踏まえ、書き出し祭りという素晴らしい企画に参加しておられる作家様に、何かを伝えられればという思いと、過去このイベントに参加させていただいたお礼もかねて、このような感想を書く場を思いついたしだいです。


つまらない話しはこの辺りで終了し、まずは具体的に僕個人が考えている「小説」と「漫画」の違いと類似点について、簡単にまとめてゆきたいと思います。




<それで、木野の考える小説と漫画の違いとは>


まず定義として、ここで言う「小説」は、このカクヨムや『小説家になろう』のような、WEB小説とします。そして「漫画」とは、それらを原作としたコミカライズ作品や、近年増えてきた異世界系漫画とします。


いわゆる「なろう系漫画」なら、そんなに違いはないんじぇね? と、思われるかも知れませんが、『』『』と、僕が勝手に銘打っているところが、大きく違うところではないかと考えています。


もちろん個人の意見ですが、まずテーマ(創作などの基調として、その全体を通して表わそうとした考え、思想、観念)は、主人公のセリフや行動に集約されることが基本となります。

これは、小説なら地の文やモノローグなどで伝えることも可能ですが、漫画では、主人公(あるいは主人公に寄り添う語り手)のセリフや動きのみで、読者に伝えなくてはいけないからです。

そしてテーマは「わかりやすく」「一貫して」「強く」「読者が共感できるもの」でなくてはいけません。

物語の初めにひとりの少年が『俺は海賊王になる!』と叫んだり、個性が無い少年が『ヒーローになる』と叫んだり……。叫ぶ必要は無いかもしれませんが、その訴えに読者が共感して、初めて物語の中に読者を引き入れることができるからです。


そして、それを取り囲むコンセプト(概念:テーマを実現させるための手段)が、ビジュアルとして展開しているかどうか。が、物語の冒頭に必要不可欠となってきます。海賊が喝破(かっぱ)する世界、スーパーヒーローが悪から人々を守る世界。そのビジュアルに読者がワクワクできるかどうかが、大きなポイントになるのです。


でもそれって人気の少年漫画の話しで、なろう系とは違うんじゃね? と、思われた方は鋭いです!


実は違っているけど、正解でもあるのです。

この主人公はどんな考えで、どんな行動を取るのか。この世界はどんな世界で、どんな試練が待ち受けているのか。


漫画(なろう系コミカライズも)は、そこが確りしているかどうかが、ヒットするかどうかに、大きく関わってると……。


ヒットメーカーである歴戦の編集さんや、漫画家さんが口を揃えておっしゃるポイントですし、事実僕が知る限り、そこが確りしている作品は、なろう系コミカライズでもヒット作が多いでのす。


偏った考えかも知れませんが、今回はこの辺りに主眼を置いて、皆様の作品に感想をお話しできればと考えています。

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