第14話 エンディング

 午後三時、本日の彼の勤務が終了した。


 仕事を終え、どこか清々しい笑顔で店から出てきた彼に、声をかける。


“お疲れ様さまでした”


「ああ。はい、お疲れ様でした」


“いろいろな方に声をかけられて、大変な一日でしたね。この後はご自宅へ帰ってゆっくりと?”


「いえ……ちょっと。これから、用事が……」


 これまでハキハキと爽やかに応えてくれていた彼が、言葉を濁す。昼休憩明けの時の態度に似ている。何か、隠している。そんな態度だ。


 我々は彼の真相に迫るため、質問を続ける。


“まさか、お仕事を掛け持ちですか?”


 すると彼は、声量を少し落としつつも、案外あっさりと応えてくれた。やはり、根はいい人なのだろう。


「まぁ、仕事というか……これから人助けです」


 そう言って、彼はポケットから数枚の封筒を取り出し、ヒラヒラと振る。


 それは、先ほど仕事中にお客に渡されていた封筒だった。


 彼は両手を口に当てると、まるで内緒話をするかのような小さな声で、自身の秘密を打ち明ける。


「実は僕、スーパーマンなんですよ。だから、これから困っている人を助けに行くんです」


“えっ? それって……?”


「もし何かあれば、あなた方もご相談ください。全力でお力になりますので。では、本日はお疲れ様でした」


 爽やかなの笑顔で別れの挨拶をすると、彼は、戸惑っている我々を残し、颯爽と商店街の人ごみへと姿を消した。


 もっと詳しく話を聞こうと、すぐに我々も彼の後を追い、商店街の人ごみへと足を踏み入れたが、彼の姿を見つけることは、もう出来なかった。


 我々は、もしかしたら何か大きな思い違いのもと、彼の取材をしていたのかもしれない。


 真相は、再度彼を取材することで、突き止めることができるだろう。しかし、真相を暴き立てることは、彼の望むところではないような気がする。


 我々の取材は、これにて終了とするが、もし、悩んでいることがある人は、一度『スーパー ヤス』へ足を運んでみるといいだろう。


 きっと、彼が、全力であなたのことを笑顔にしてくれるはずだから。






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『スーパーマンの一日』、完結しました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


次ページからは、『結婚相談所 キューピットへようこそ 〜運命の人に、あなたは必ず出会えます〜』をお届けします。

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