お家デート

 今日は、俺が寧々の家にお邪魔した。

 俺は、寧々の部屋にあるすべてのものに俺の名前を書いた。

「ちょっと、何してるの?」

 寧々は、不思議そうに俺の顔を覗き込んだ。

「ん? 君のものに俺の印をつけているんだよ。君のものは俺のもの」

 寧々は少し困った顔で何か言いかけたが、押し黙った。


 俺はあることを思い出して、立ち上がった。

「そういえば、渡したいものがあるんだ」

 そして、かばんから黒い物体を取り出した。

「カメ……ラ?」

「そうだよ。離れていても、一緒にいられるように…………ここに置いておくな」

 寧々は無表情でうなずいた。

「俺にずっと見られるなんて、嬉しいだろ?」

 寧々の表情は強張っていく。

「嬉しいに決まっているよな!」

 俺は、人が変わったかのように威圧的に言い切る。

 寧々は流されてうなずいた。

「うん。嬉しい」

 俺は、満面の笑みを浮かべた。

 寧々が、俺に染まっていく。

 


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