特にこれといった目的もない異世界転生
zaq2
0旅立ちまで
第1話 新しい世界に生まれ落ちる
───この世界には、勇者と魔王がいる。
選ばれた勇者が、唯一無二、魔王に対抗できる存在であり、その勇者の力をもってして、世界を闇に包んでくる魔王の企みを阻止していた。
過去に、幾度となくその様な戦いが幾度となく行われた。
ある年代では、魔王が勇者を退けて勝利を勝ち取り、大陸全土を支配下に陥れ、尊厳や人権を無視した扱いで人類を酷使しつづけた年代もあった。
一方で、勇者が現れて、その苦しみから解放し、自分たちの土地を取り戻し、そして魔王率いる土地までも支配地として……
魔王が勝ち、勇者が勝ち、と、その歴史を紐解いてみてみれば、その様な事が繰り返すかの様に続いていた。
勇者は召喚される物でもなく一族的な血の盟約により受け継がれ、魔王も同じく血の盟約を継承する事により受け継がれる存在として生まれ落ちていた。
そんな、勇者と魔王が登場する物語のような世界に───
自分という意思が放り込まれたわけである。
いうなれば転生した様で、
なお、前世の死因は
その記憶というと……
それは、新しいトレーニングウェアを手に入れて、ハッスルマッスルとトレーニングに勤しもうとした時の事だ。
『いいか?
という教えの元、下半身を重点的に筋トレしまくっていた。
それまでにも、剣術、柔術、合気術、抜刀術、棒術、杖術などなど、色々と習い事の一環として教わっていたが、そのそれぞれに共通する点として、下半身と軸と重心が重要という教えを受けて、真面目に取り組んで"皆伝"や"師範"まで頂いた。
まぁ、その習い事のおまけとしては、暴漢や悪漢を取り押さえては表彰も頂いたぐらいではあるが。
だが、そんな自分にも、昨今の流行り病に罹患する。
"病に負けるわけにはいかん!病には体力!つまりは筋肉が足りないからだ!"と
病は気からとも、気力で負けてしまってはいけないと思ったわけだ。
ただ、冬場の野外階段の下りダッシュはアカンかった。
前日に雨が降ってたらしく、凍った段差に脚を滑らせる。
いつもの身体の状態ならば、それすらもリカバリーできているはずが、さすがはパンデミック級の病。
受け身を取ろうという行動が、変な頭痛によっては動きが阻害され、そのままストーンと頭部を強打して逝った模様である。
最後「うぉぁ?!いてっ?!」と言っていたのが記憶には残っていたぐらいである。
享年6×歳。
定年退職しては、第二の人生スタートしてしばらくたっていたのにな……
両親は介護の末に他界し、姉弟がそれぞれの家庭を築いて遠くに住んでいるだけである。
身近では、趣味(筋トレ兼オタク)仲間の友人に、申し訳なかったなぁとは思う。
そんな自分の生涯は、童貞を
研究職の職員につぐ!
仕事に没頭し続けてたらそうなるからな!
ほどほどにしとけよ?先人からのアドバイスだ!
──────────
そうして、新たに生を受けて生まれ落ちた世界が、最初にあげた内容の世界であった。
この世界での最初の記憶は赤ん坊という事で、何てマニアックなプレイをさせられているのだろうかと思ったぐらいである。
ただ、それ以上に、やはり存在した『魔力』というモノ。
あれだね、"異世界あるある"の定番といえるヤツがあったわけだね。
前世では
そう頭で理解した時、ミルク(直飲み)を忘れるぐらいにソイツをどうこうしようと四苦八苦したよ。
研究職だった血が騒いだのか、いろんなパティーンを試しては記憶し、また試してはと繰り返しつづけた。
なにしろ、赤ん坊の時に、筋トレなんぞ出来る訳でもなく、暇をもてあそび過ぎていたからね。仕方ないね。
ついでに付け加えれば、寝る間も惜しんでさらに没頭しちゃった訳だ。
研究職の血のサガか……
そうやって魔力という存在をどうにかこうにか扱ってやろうと四苦八苦していた。
ただ、それが悪かった──
現・母親に、寝ない・飲まないで、病気じゃないか?とすごく心配されまくった。
正直、スマンカッタ。反省してます……
その後はちゃんと反省していたので、睡眠時間は有る程度(超熟睡で2~3時間)とりますし、ミルク(直飲み)はがっつり頂きます。
赤ちゃんプレイと言わない様に、その時の羞恥心は研究心でかなぐりすてるので必死だったのだから……(死んだ目
そして、ある程度のコツがわかってきてからは反復練習と運用練習と応用練習に費やした。
果ては、前世の知識の"異世界あるある"適な流用や、何かしらの使い道がないかを、暇な時間にみっちりと行っていったわけである。
ただ、どういうわけか、そんな制御の練習時に限って兄者1と兄者2が様子を見に来ては、自分の顔をペシペシ叩きに来よる。
どうみても、面倒見というか、玩具にしにきてるじゃねーか。
丹田法による魔力循環かつ身体強化を試してる時にそれやるのやめろや。
あ、集中きれちまった……くそぅ、秘儀「大泣き」を披露してやったぜ!
ハハハハハ!大慌てしよるわ!コヤツらめ!
ま、そんなこんなで乳児期に幼少期と、よくある異世界ならば、命の価値も安かろう悪かろうにならないよう、簡単にポックリ行かないようにしなければならない。
こういう異世界あるあるならば、衛生観念もさることながら、前世以上に鍛えて、今度こそは、病にも負けねぇ身体を作らなければ……
──────────
はい、末っ子の"ラーマ"です。
もう10年もたちましたが、乳児時代は過ぎ去るのは速いというけれども、あっというまです。
そして、村の風習なのか世界の常識なのか、16歳となった上の兄者は成人を迎える年になります。
16歳で成人が早いと思ったりもしましたが、命が軽い世界だと"そうせざるをえない"というか……?そういう感じなのと割り切っております。
あと、その上の兄者は成人を迎える日に、おとなりさんの娘さんと結婚しそうでもあります。
なお、下の兄者は魔法オタクになっており、幼馴染にあたる村娘の姉御に、ほぼ毎日"外に出よう"と無理矢理連れ出されております。
"お隣さん"と"幼馴染"は、敗北者ではなかったのか……
このリア充たちめ……爆発しろ。
こちとら
再度言うが、やっぱ爆発しろ?
それはさておき、筋力トレーニングがようやく行えては確立し、魔力(?)トレーニングもオリジナルでしっかりと鍛え上げておりました。
前世における研究者の職業病と、真面目に勤め上げた筋トレと師範代の経験と、サブカルオタクの知識は伊達ではないのだ、伊達では!!
冷静に考えたら、やべー組合せだなと思ったのはかなぐり捨てます。
それよりも、我が家の農作物収穫量は、村の中にて最強。フゥハハハハハハ!
まぁ、よくある、知識チートという奴ですね。
元のこの土地の収穫量はてんでふるわなかったので、農地改善のためにこっそりと肥料やら土壌改善をしたりした。
なにせ、栄養不足は病につながる。つまり、健康に対して悪い要素でもあるからだ。
それらを改善するべく、4年ぐらい前から色々と動き出した。
特に、畑に撒いてる水に塩分が微妙に入っているっぽく、その元凶を探れば原因は魔境にあった岩塩という嫌らしい存在であったので、それらを強引(物理)に取り除いては石灰まぜたりで問題対策やらをしたりと前世様の知識を元に農業改革をしまくった訳であります。
まぁ、お隣さんたちというか、村全体にも同じ方法をコッソリと導入して、昨年からあっちこっちで豊作しまくってるんですけどね。
というか、この世界の農作物たち、こっちが手を加えれば加えるほど、はんぱなくヤル気に満ちていってる気がしないでもないぐらいにタフネスに育ちやがりました。
そして、なんでも領内トップの収穫量で、新記録の更新らしいです。やったぜ!
そうそう、一応そういう知識チートのお試し様に、実験用の農地は隠してあります。
前世と同じ知識でやれるかはわからないので、いきなりやって大問題が起きても問題が無い様に、実験場は離れて作るのは大事なのですよ。
えっ?その隠し農地の納税義務とかは?って?
見つからなければ、納税の対象ではないのだよ。ハハハハッハ!
というか、見つかりっこもないけれどもね。
なにせ、ここから
そして、やってる事が、この世界基準だと結構ヤバイかもしれないです。
前世では品種改良とかそういうのは普通だったが、今世において、それらが良い事なのか悪い事なのかもわかりませんからね。
そうそう、その農地改革によって"あまりにもの大豊作"を記録した事に、貴族様方々の目に留まっては"増税されかねない"という危機が迫ったこともあった。
そりゃぁ、例年以上の農作物の納品なんてしてしまえば、原因調査なんぞにいろいろと詮索されたりする。
そうなると、自分ちどころか村全体が、増税対象でヤバイかもですと。
その為、隠れ蓑にするためにと、こういう時は『"豊穣の神様の奇跡が起きた"とか何とか言って、宗教に全投げすればよいのです』案を決行しました。
村にある集会所みたいな教会の女神像を、コッソリと"えいっ!えいっ!ふんっ!"と魔力(?)かつ、ちょっと汚れすぎなので丹精込めて綺麗にな~れ~美人さんにな~れ~という念と、やってる事バレるな~作った作物これ以上もっていくな~という(邪)念を交えて、ご立派に磨き倒して
うおっ!まぶしっ!というぐらいにね。
そうすると、本当にそういう方向におさまっちゃいました。
なにしろ、宗教のエライ人たちが本当に村に来たのにはビックリしたけど、そのエライ人たちが、光り輝く女神像を見たら大粒の涙を流して感涙して祈りまくっては、"豊穣の女神様のお墨付き"みたいな?そういう認定書おいてったけどさ……
えーっと、チョロすぎひん?異世界さん……
いいのか?それで。
ま、そんなこんながありましたが、今現在の目の前にあるのは、試作のトンボゴロシ……もとい、その改良品種のトウモロコシ(?)もどきの爆裂種を、魔力(?)でこう「えい、えい、ヌンッ!」と微調整したものを作付した結果の調査です。
これがうまくいけば、今期には新たな村の特産品としてポップコーンが出来るはず。
まぁ、本当に作れる品種になるかどうかは、育てて見なければわかりませんけどね?
なお、隠し畑の魔境産実験"拾参"号は、魔力(?)の込み方がヤバかったのか、それとも、土地が悪かったのか、食うか食われるかの食肉植物と化し、最後は自爆してましたが。(かしこ
さて、そんな試行錯誤をした結果の調査をしながらの農作業をしていると……
「なーなー、あそぼーぜー!」
「前みたいな、面白い遊びを事おしえてくれよー」
「いまは仕事中。邪魔邪魔。あっちいけ、シッシッ」
「えー!いーじゃーん!いつもならサボって遊んでくれてんじゃーん」
「村の外つれてってくれよー」
と、村の年下の子供らが声をかけてきます。
成人を迎えた人は村内で働くか、または仕事を求めて(食い扶持減らしもかねて)、領都やほかの街へと働きにと出て行ったりでおりません。
なので、成人未満はお手伝いさんのワタシの様な年上が、年下の面倒をみることによって
なにせ、成人を迎えた大人たちは、働き手ばかりの農村である。
その為、人手が足りなくなっているならば、おのずと年長による年少たちの監視者が必要になるわけで……
ただ、今は手が空かないために無視である。無視。
それに、転生した年齢を加えたら、精神年齢はとっくに老人にもなる年数。
まぁ、肉体に精神が引きずられて、市中引き回しの刑になってる気もしないではないが。
それでも、ガキどもが何を言ったとしても、作業の手を止める事なぞ一ミリもない。
今は自分が丹精に育て上げた作物が、順調に成長しているのを感じれば、心の平穏が得ら「せーの……」
「「「「胸板、まな板、すっとんとーん!」」」」
「んだとゴルぁ!!もっぺん言ってみろやぁぁ!!」
「わー!!怒ったー!みんな逃げろ!!!」「逃げろ」「逃げろ!」
「まちやがれ!このクソガキどもがぁァ!!」
ちぃ!!アイツら散りやがった!!
悪知恵ばかり、だんだん発達しやがって!!
ぜってーとっちめてやるぁ!!!
こうして、周辺の大人たちからは微笑ましくみられながら、だいたいが"自分が鬼"の鬼ごっこが始まるのである。
ま、オリジナルの身体強化魔法(?)を使えば、悪ガキどもを捕まえるのに半刻もかからない。
ついでに、缶蹴りもどきも教えてやる。
缶が無いから、薪用のちっさな丸太の切れ端で代用だが。
おらぁ、みつけたわ!"ドッポリボーグ見つけたポコペン!!"つぎぃぃ!!って、集団でくるだと!?こいつら、えーと、アイツの名前は……ワーラキャッキ…下噛むぅ!長すぎぃ!!
そもそもこいつら、短時間で遊びの知恵が加速してやがるぅ!!
・・・
・・
・
ふぅ……昼過ぎにようやく解放され、ついでにストレス発散ついでに見に行った、魔境の奥にある隠し畑を荒らしに来る
そうして、理解できる頭がある奴は半殺し(しばき倒す)にし、本能のみで理解して頂けない奴らは本殺し(ワンパンぶっぱ)でとっちめた後、今日の農作業を急ぎ終わらせる。
農作業において、雑草取り(意味深)と害虫駆除(意味深)は、とてもとても大事なのである。
なお、
魔境に生息するでっけートンボ(羽根の全幅が推定1m以上)を捕食して食いつくす植物が美味しいかどうかの保証はしらんが……なんか、喜んでるようでもあったな。
ただ、その実がね、
大丈夫なの?これさ……。
ああ、そうそう、転生して性別が"女"になっております。
つまり、よくあるTSってヤツだね!
……ふざけんな!
あと、胸囲に関しては、筋トレの成果で
大事なことなので、もう一度いいます。
"
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます