小界奇談~ちょっと怖い物語~(100話完結)

川辺翡翠

小道の先

「知ってる?学校の途中にあるあのちょっと入りにくそうな小道」


「知ってる。でも入ったことはないよ。親がダメだって言うから」


「今日行ってみない?」


「嫌だよ~行ったら怒られるもん」


「そんなの言わなきゃわからないし、他にも声かけて皆で行けば大丈夫だよ」



集まったのは8人。


クラスに残っていた子たちに声をかけてその子がまた他の子に声をかけて、という感じでクラス替えしたばかりでまだ話したことがない子も、また他のクラスの子もいるけれど

「これからよろしくね」ってことでその小道に行ってみることになった。



「誰も行ったことないの?」


8人はそれぞれの理由でその小道を通ったことがなかったみたいでわいわいガヤガヤ言いながら小道の前までやってきた。

最初に誘ってきた子を先頭に小道に入っていく。


「この道はどこにつながってるの?」


誰かが聞いた。


「あそこじゃない?ほら、あの学校の裏側の畑の方」

「あ~!あそこか~」


関係ない話なんかもしながらどんどん進んだら道が開けてきた。


見た事のない、場所に出てしまった。

道はそんなに広くはないけれどそこにはバス停が1つ。少し先に見えるのは見た事のない屋根の家。

そこからゆるい下り坂になっている



「あ!うちの近くだった!もう帰るよ」


と言って男の子が1人帰っていった。


他の子は知らない所だったので皆戻って帰ることにした。

ちょっとした冒険をしたってくらいの感覚で来た道を戻って小道を抜ける。


おかしなことになっているのに皆が気がついた。


小道を通った時は暑いくらいのいい天気でお昼を過ぎた頃だったのに今、日が沈みかけている。

小道に入って戻ってくるまでそんなに時間がかかってないはずなのに。


怖くなって皆急いで帰った。



次の日、あの日行った子達で集まった。

でも、あの日あそこから帰った子はいなかった。



お休みなのかな?



あの子は誰が声をかけたのかと話になったけれど誰も声をかけた子はいない。



「あの子は誰?」



もうあの小道は通らないと決めた。

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