朱の記憶~外伝~

やまもん

繋がる心 ~風海と玲季斗~


坂井玲季斗さかいれいとです。よろしくお願いします。」

「あぁ。」


ぺこりと頭を下げる俺。

そんな俺に目を向けずに、素っ気ない返事をしながらデスクに目を向けていた。


「あ、あのぉ…。」

「何ができるんだ。お前…。」

「え?」

「悪いな。木林きばやしに何も聞いてなくてな。お前の配属先を決めてねぇんだ。」

「はあ…」


何ができる?そんなこと言われても、何も出来ないんだけどな…。

そんな事を思いながら、なんて答えようか目を泳がせながら考えてると、目の前にいる男の人は溜め息を吐く。


「もういい。」

「え?あぁ…さーせん。俺…」

「ちょっと来い」

「はい?」


ガタッと音を立てながら立ち上がり、俺に近付いてきた。

俺は大人しく言われた通りにその人に着いて行く。


「おい。かなどめ

「……?」


着いていくと、そこは何かの訓練場のような場所だった。


「コイツの面倒を見てくれないか」

「あぁ?」

「………ぅ、あ、えっと…」

ジロッと鋭い眼で見てくるこの男に俺は思わずタジタジになってしまった。


「坂井。コイツは京風海かなどめかざみだ。一応この警備隊隊長を務めてる。」

「警備隊…?」

「京。人手を欲しがっていたよな。頼んだぞ。」

「あぁ?なんなんだコイツ。使えんのか?」

「さぁな。使い物にならなかったら処分すれば良い。好きにしろ。じゃぁな。」

「え?あのちょ…」


名前も知らないこの男の人は俺をその場に置いて立ち去ってしまった。

一瞬シンと静まるその場に気まずさを感じる。


「ったく、宮部みやべの野郎…」

「みやべ…?」


チラっと視線を向けると、また鋭い視線とぶつかる。


「てめぇ、戦術は?」

「はあ?」

れんのか?」

「や、やる?え?」

「はあ…。使えねぇゴミか?」

「ちょっ、はあ??」


突然訳分からない事を言い出したこの男に腹が立った。

ゴミってなんだよ。


「ゴミってなんスか。失礼ッスね!!」

「おい。千歳ちとせ


俺の言葉を無視して、ムカつく目の前の奴は人を呼ぶ。


「はい。なんでしょうか。」

「新入りだ。雑用から教えてやれや」

「新入りさん…?」


頼んだぞと言いながら、どこかへ行く。

タライ回しのような扱いに俺は不満が募る。


「お名前は?」

「え?あ、坂井玲季斗ッス。」

「坂井さん、よろしくお願いしますね。自分は弥生千歳やよいちとせと申します。」


柔らかく優しい笑みを見せてくれる千歳さんに、俺は少しだけ安心感が生まれる。

そして、色々警備隊として行う内容を千歳さんから教わった。


「簡素な説明しかしていませんので、分からない事がありましたら、直ぐに聞いてくださいね。」

「うぃっす。」

「では、隊長さんに今日の御報告をしましょうか。」

「へ?」


バッと時計に目をやると18時を指していた。

もうそんな時間になったのか、早いな…と感じる。俺は千歳さんの横をちょこちょこ着いていくと、千歳さんが口を開いた。


「坂井さんは、おいくつなんですか?」

「え?俺ッスか?16ッス!」

「そうなんですね…。出身はどちらですか?」

「あぁ、俺…もともと出身なんスよね。で、ちょっと訳あってD地区に居て…」


ゴニョニョ喋っていると、千歳さんは「そうだったんですね」と言って、深く聞いてこなかった。


「おぅ、新人。流れは理解したか?」

「はあ?1日で覚えられるわけないじゃないッスか。」

「…………。」

「うっ、なんすか。」

「明日朝5時に訓練室に来い。分かったな。」

「え?5時!?」

「千歳、今日の報告書は?」

「はい。こちらにまとめてます。南棟5Fフロアの…」


俺を完全に無視して話しを進めるコイツ…マジ腹立つウザイ!!!

名前なんだっけ?

俺がチラっと視線を向けると、警備隊服に付いてる名札が目に入る。


「ん?キョウ…?」


ポツリと言葉が漏れた。

俺は、まぁいいやと思いながら、用意された部屋に戻る。

警備隊は、まるで軍隊の部屋のように1部屋をみんなで使ってる感じであった。

副隊長と隊長だけ別室らしいが、平隊員はギュウギュウのこの部屋で寝てるらしい。俺は下のベットを使えと言われ、大人しくそのベッドで寝た。


朝5時。寝坊した。

急いで平隊員の制服に着替えるが、着慣れない制服にモダモダしてしまい、余計に時間が掛かる。ダッシュで訓練室へ向かうと、鬼隊長はめちゃくちゃ鋭い目で睨み付けてくる。


「30分もオーバーしてやがる。てめぇは時間もまともに守れねぇのか。とんだゴミクズも良いとこだ。」

「ゴミクズでサーセンね。」

「あ゛ぁ?てめぇ、なんだその謝り方は。」

「アンタこそ、人の事ゴミ呼ばわりって何様っすか。」

「…………ッ」


噛み付く俺に舌打ちをする鬼隊長。俺はフンとした態度を見せると、鬼隊長は俺に竹刀を投げ付ける。


「え?なんスか。」

「てめぇの筋を見る。とりあえず来いや」

「はい?」


キョトンとする。


「D地区に居たんだろ?しかもDの5番区域に居たらしいじゃねぇか。まぁまぁ、やべぇ奴らが居る場所で生きてたんだ。タマ持ってかれそうになった事もあっただろ?てめぇのタマはてめぇで守ってただろうから、ソコソコ出来るだろ?ほら、来いや」

「…………ぅっ…」


変な汗が出る。

確かにコイツの言う通り、殺されそうになった事もあるし、ヤバい目に沢山合ってきた。

その度に自分の身は自分で守らなきゃと、色々護身用に危険物を持って歩いていたし、実際にそれで戦った事もあった。

自分でも信じられなかった事を沢山やって命を繋いで来たけど…


俺は息を飲んで、とりあえず意を決して鬼隊長に向かって踏み込んで、竹刀を振り下ろした。

我武者羅に振り回してたが、呆気なく叩きの召された俺は地面に身体を転がせる。


「見え見えだな。まぁ…当たり前だけどな。オラ立てや。」

「痛ってぇ!」

「うるせぇ。良いか。今日から、このメニューを全部こなせ。」

「げっ、なんスかコレ!!!!」


そこには、どっかの軍人レベルのようなハードなトレーニングメニューがびっしり書いてあった。

鬼隊長は終わったら報告に来いと言って、訓練室を後にする。

見張り役として、千歳さんが何故か来た。


「はぁ、はぁ、マジ…きっつ…」


息を切らしてしゃがみこむ俺。千歳さんは、優しくタオルとスポーツドリンクを手渡してくれた。


「お疲れ様です。でも、中々良い線だと思いますよ。運動神経は良さそうですね?」

「あぁ、俺…体育だけはめちゃくちゃ成績良かったんスよ!」

「そうなんですね」

「っつーか、マジあの鬼隊長なんなんスか?初っ端から、こんなメニュー突きつけて、有り得ないッスよ。」


文句を言う俺に、千歳さんは笑う。



そして、俺がココに来て1ヶ月が経とうとしていた。


「おい、新人。」

「新人って名前じゃねぇんスけど。」

「今日から本格的に指導するぞ。」

「はぃ?」


ハードなトレーニングの後は、毎回この鬼隊長と手合わせをする事になった。

毎日毎日、繰り返し繰り返し、スパルタで鍛え上げられる俺の身体はボロボロだった。

痣だらけになったり突き指したり、捻挫したり…

幸いまだ骨は生きているから良かった。


「はぁ゛―――――!!!!!」


床に大の字で伸びる俺。汗びっしょりで、打たれた節々がかなり痛い。


「おい、立てや。だらしねぇな?」

「アンタ、少しは優しくなんか声掛けること出来ねぇんスか!?」

「あぁ?甘ったれんなクソ野郎」

「なっ…!!!ほんっと嫌い!!!大っ嫌い!!!嫌いすぎ!!!ウザイ!!!!」

「てめぇ…」


バチバチ睨み合う俺と鬼隊長を見ていた千歳さんは、やれやれと言いながら、間に入ってくれる。


「喧嘩なさらないでください。2人とも、そろそろ休憩した方が良いですよ。我武者羅にやるから直ぐに身に付くわけでは無いです。ね?」

「……チッ。30分な。」

「はあ?」


鬼隊長が訓練室から出て行く姿を眺めていると、千歳さんが手を差し伸べてくれる。


「お疲れ様です。大丈夫ですか?」

「あ、サーセン。大丈夫っす。」


ゆっくり立ち上がって、休憩しに行く。


「京さん、言ってましたよ?筋は良いって…」

「え?」

「あの人、凄い不器用な方ですからね。乱暴な物言いですが、坂井さんの事きちんと見てるみたいですよ。」

「あの。」

「はい、なんですか?」

「カナドメって誰ッスか」

「え?」

「??」

「隊長さんのお名前ですよ?」

「あ、あー…」


目が泳ぐ。名前を覚えるのが苦手だし、アイツの苗字〝かなどめ〟って読めなくね!?

キョウで良いじゃん!!!


まぁ、とりあえず…はいはい。カナドメね!カナドメ!


うんうん。と頷いたが、俺は寝るとすぐ忘れるみたいで、次の日にはアイツの名前は記憶から消えていた。


更に時が過ぎる。

俺がココに来て半年とちょっと過ぎた頃だった。


「いしししし♪キョウちゃんにコレあげる〜」

「要らねーよ。」

「えー?かわいいよ。もらってぇ〜!」

「何やってんスか?」

「いしししし♪れいちゃんだ。」

静空しずくさん、お疲れッス〜!」


泉木静空いずきしずくさん。年齢不詳。何考えているのかよく分からない人。

俺から見た第一印象はそんな感じ。

俺が、話しかけると静空さんはタランチュラみたいな生き物を片手にして、近づいてきた。


「キョウちゃんが貰ってくれないから、れいちゃんにあげるね」

「ひぃぃぃい!!!なんスかそれぇぇええ!!!」

「タチュラくんだよ。可愛いでしょ?おリボンもついてるの!」

「きっも、やだやだやだやだ!!」


ウゴウゴしてるタランチュラ。よく見ると、タランチュラの顔は人間の顔のようになっていた。

どうやら、タランチュラと人間を組み合わせて人体実験をした結果、こんな化け物が生まれたそうだ。

そんな化け物を片手に、静空さんは不気味に笑って「可愛いのに~、れいちゃんもタチュラくん嫌いなんだって~、かわいそうに」と言っている。

鬼隊長は、そんな俺らのやり取りをガン無視して、姿を消した。それに気が付くと、静空さんは俺に余計に絡んでくる。マジ勘弁してほしい。


1時間ぐらい静空さんとやり取りした後、俺は解放された。

タチュラくんと名付けられていた化け物は排除され、静空さんは笑いながら「かわいそうにタチュラくん、シクシク」とか言いながら部屋に戻っていく。


少しこの生活にも慣れてきた俺は、いつものようにトレーニングをし、手合わせの稽古をしてもらう。

そして、少しずつ設備点検などもやらせてもらえるようにもなった。


「てめぇもだいぶ良くなってきたから、明日から深夜の見回りに駆り出すことにした」

「へ?」


〝良くなってきた〟という言葉を初めて聞いた俺はキョトンとした。


「あぁ?どうした。」

「え・・・いや、別に…。あんたから褒められるとは思ってなかった…っていうか…」


ゴニョゴニョいうと、鬼隊長は無言でメモを渡してきた。静かに受け取ると、そのメモには交代時間と場所だった。


石塚いしづかって野郎が居る。ソイツと交代でポジションにつけ。初日は千歳と回って、夜のやることを聞け。分かったな」

「うぃっす…」


適当に返事をして、ちょっと褒められた嬉しさに顔が緩む。

だけど、俺はこの夜に信じられない事実を知ってしまった。


そう…


あの、鬼隊長は〝寝ていない〟という生活をしていたのだ。


この日、アイツが指示してきたとおり、俺は23時に石塚という平隊員と交代をした。

千歳さんと一緒に夜の回りや点検箇所など、昼とは違う仕事内容を聞いていると、アイツが軽く様子を見に来た。


平然と話す鬼隊長。千歳さんも普通に鬼隊長と話していて、直ぐに鬼隊長は別のフロアに移動する。


「京さん、今日も…ですか」

「え?」


ポツリと呟く千歳さんに、俺は何がと首をかしげる。すると、千歳さんはアイツの生活を軽く話してくれた。


アイツは、いつ寝ているのか分からないんだという。

24時間365日起きてるんじゃないかという噂も聞くそうだけれど、千歳さんは仮眠しているアイツを見かけたことがあるという。

30分だけ寝て、後は起きている。次いつ寝ているのかは分からないが、アイツは寝ることを許されないで育てられてきたそうだ。


正に戦うだけの人形としてここに置かれているという。


元々は宮部真みやべまことのご護衛役として連れてこられ、酷い教育のような状態を受け出来上がったのが〝京 風海〟という男だと千歳さんは言った。


「酷い教育ってなんスか…?」

「自分も詳しくは知りません。ですが、おおとりさんや小花衣こはないさんがおっしゃるには、京さんは〝人であることを捨てろ〟と言われて育てられていたそうです。寝ることも禁止され、食べることも制限され、正に〝動く人形〟のように育てられていたとおっしゃってました」

「え…」

「そのため、京さんは〝人前で寝る〟ということをしないようです。どこか隠れて、数十分仮眠のような取り方を何回か分けてされているとか…」

「・・・・」


別にどうでもいい。

嫌いだし…。


そう思ってはいたけれど、俺の中でなんかモヤモヤするものがあった。


そのモヤモヤがなんなのか、分からなかったけど、俺は気が付いたらアイツの元へ駆け寄っていた。


「キョウさん!!」

「!!??」


初めてコイツの名前を呼ぶ俺に、吃驚した表情を見せる。


「キョウさん…」

「・・・・キョウじゃねぇ。京だ」

「え?あー、良いじゃないっすか!なんか、みんなキョウさんって呼んでるし」

「チッ。なんだよ。用があるならサッサと言えや」

「…あ、いや…その。寝てないって聞いて」

「は?」


キッと鋭い視線とぶつかる。

一瞬ビクっとしたが、俺は首を振って「寝てないって聞いたんすけど!」と言葉を続ける。


「千歳か?それ言ったの」

「え?あぁー・・いや、それは」

「アイツも余計なこと言いやがって。」

「でも、千歳さんも心配してたっすよ!不眠症なんすか?ずっと起きてても体壊しちゃいますし、寝ましょうよ!ね!」

「余計な心配すんな。10年以上このスタイルなんだ。今更だろ。サッサと仕事に戻れや」


キョウさんは吐き捨てるように言って、その場を去っていく。

俺は、何故か放っておくことが出来なくて、毎日のようにキョウさんにくっ付いていくようになった。

相変わらず手厳しいトレーニングだけれど、少しずつ俺も成長しているみたいで、キョウさんに褒められることも多くなった。


笑いもしないけれど、キョウさんに褒められるのは嬉しい。


「キョウさん!!今日の夜こそ寝ましょー!!ね!」

「あぁ?てめぇもしつけーな。」

「しつこくてサ―センね!キョウさんの為っすよー!まずは1時間でもいいから、寝ましょうよー!」

「だぁぁぁ!!うぜー!!離れろクソがっ!!」


がっしり、腰にしがみつく俺の頭をバシバシ叩くキョウさん。

そんなやり取りが数か月続いているのだ。さすがの俺もビックリ。


「なんで、そんなに寝るのが嫌なんすか!」

「…っ」


俺の質問にキョウさんの目の色が変わる。

〝酷い教育〟という言葉が頭を過る。たぶん、キョウさんにとって睡眠は何かのトラウマがあるのだろうと、この時察した。


何をされてきたのか分からない。でも、このままだとキョウさんはいつか壊れてしまうかもしれない。

キョウさんはちゃんと〝生きてる〟から〝人形〟ではない。


俺の中で、何かが動いてキョウさんの手を掴んで、仮眠室に連れていく。


「おい、何しやがる!!玲季斗!!」

「!?」

「な、なんだよ」

「今、キョウさん俺の事〝玲季斗〟って呼んでくれた~」

「・・・・」

「えへへ、なんか嬉しっす」


へらぁ~と笑みが零れた。

そのまま俺は、仮眠室にキョウさんを押し入れて寝るように言う。


「大丈夫っすよ!寝ても」

「は?」

「キョウさんは、一人じゃないんで。俺いるし、千歳さんも居ます!昔は1人だったかもしれないし、全部キョウさんがやらなきゃならなかったかもしれないっすけど…」

「・・・・・」

「えっと、うまく言えないんすけど、このままじゃダメだと思うんす。だから…」


俺に語彙力があれば…ってマジで思う。

上手く言えない言葉を一生懸命口にすると、キョウさんは初めて一瞬柔らかい表情を見せて、俺の頭をポンポンと撫でた。


「1時間…な」

「!!」


ぱぁ~っと笑って、頷くと、キョウさんは黙って横になった。


キョウさんの中で固く施錠された鎖が1本切れたようだった。



1年後…


「え?」

「聞こえなかったのか?今度から警備隊隊長はお前だ」

「は・・・え・・・?俺?」


キョウさんの元でビシバシやられて1年。俺はスピード昇格的な話を真さんにされた。

真さんの隣にはキョウさんもいて、キョウさんが隊長の制服を俺に差し出している。


「てめぇはもう十分成長したからな。俺が教えることはもうない」

「ちょ、え??まだ一年っすよ?俺。ってか、隊長なら千歳さんが…」

「アイツよりお前の方が適任と判断した」

「なんで!?」

「お前のその記憶力」

「へ?」

「ネズミを見逃さないだろ」

「・・・・・」


そう。

俺は記憶力が人より優れてて、一度見た顔は絶対に忘れない。

人の名前を覚えるのは苦手だけど、人の顔を覚えるのだけはめちゃくちゃ得意だった。

普通だと思ったんだけど、なにやら普通ではないみたい。

だから、どんなに変装してこの組織に忍び込んでも、俺にはソイツがこの組織の人間ではないことが一目で見抜ける。


そこから、キョウさんは俺を隊長として任命したという。


「前もお手柄だったからな、お前」

「そ・・れは・・」

「嫌なのか?部屋も広くなるぜ?千歳と同室だけど、平隊員よりは全然良いと思うけどな」

「そうかもしれないっすけど、俺…隊長とか向いてないっすよ。」


絶対に嫌だった。

だって、隊長っていったらキョウさんみたいに下に指示出したり、色々取りまとめたりしなきゃならないし…。

面倒くさいじゃん!?人の上に立つとか俺絶対やだ!!


人の顔を覚える特技があるとかそんな理由で隊長に選ばれるとか…

副隊長でも良いじゃん?


一生懸命駄々をこねているとキョウさんが「うるせぇ!!黙って従え!!豆しばがっ!!」と怒鳴って隊服を投げつけてきた。

思わずキャッチすると、真さんが「お!受け取ったな。じゃぁ、頼んだぞ坂井。近日中にお前の昇格については木林にも通達する」と淡々と喋って、部屋から追い出された。



え…?


そんなことってある…??


納得いかないまま、俺は隊長となったが、後から聞いた話。なんか千歳さんが言って、俺が隊長になったとかなんとか…


ずるいっすよね。。ほんと。大人ってずるい!!!



end

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