第73話 安直な目標
「はーい、それじゃー質問答えていくぞー」
話題はこれでもかと提供してあげたので質問形式で答えていこうと考えた。
んで一応先に説明させてもらう。今回こんなにも色々話したのは、気分だ。
うん、気分だ。気づくのめっちゃ遅かったし、台本なんて用意してないし。うん、気分だ。
ゲーム大会のことも別に隠していたわけじゃないしな。顔出し配信者となったわけで顔バレとかも怖くないし。
Vtuberってのも、俺のもう一つの顔であった狡噛レンの無実は証明されてるしな。
流石に狡噛レンという実名は明かさないけど、Vtuberやってたぐらいはいいかなーって。
バレても、俺は認めてないよ? みたいな。
ま、一番の思いはファンにはできる限りのことは伝えたかったってのが一番だ。
推しのことは色々知りたいって気持ち、俺は分かる。だから俺を推してくれる人たちには逆に色々知ってほしいと思うわけだ。
《順番に聞いていくかー》《だなー》《じゃあ、まずはゲーム大会のことかな?》《結構本命やけどな》《その本命と同じぐらいえぐいことを言っちゃってるからな》《マジでオールしてでもいいから配信途中でやめんなよ……》《これ聞けんかったら……》
「オールか〜。そこまで時間かからんでしょーま、話していくか! 適当に目に止まったコメント返していきながら話すー!」
俺はあの時のことを思い出しながら話した。
あの時は俺の人生の分岐点だと今では思う。
*一年前*
「ゲームやりすぎよ!! 没収するわよ!!」
俺の極楽な時間をぶち壊すセリフ。母親である“向井静流(むかい しずる)”が放った言葉。
「待って待って……今いいとこ……」
「待ちません! 今日の授業の復習したの!?勉強しなさい!!」
俺がポケメンをしていたにも関わらず、俺の母はゲーム機を取り上げた。
初めてゲーム中にゲーム機を盗られた。天国から地獄に堕とされた気持ちを身をもって感じた瞬間であった。
これがポケメンだったからよかったものの、オンラインゲームだと思うとゾッとする。それも第五人間のランクマだったら……オェ
親とは教育という言葉を盾に強制権を発動したりする。これが俺たちゲームをする子供からしたらすごい腹立つ行為。
頭では自分が悪いと分かっていても思わざるを得ない残虐な行為なのである。
ゲームを取り上げた母は「勉強しなさいよ」と念を押し俺の部屋を出た。
勉強しろと言われたところでそう簡単に「べんきょーやるぞー!!」ってなるわけがない。
俺はそのままベットにダイブする。
初めてゲームを取り上げられて気づいたんだ。俺はめっちゃゲームが好きだと。
いつも身近にあったものが取り上げられなくなりようやく気づいた。
そして気づくと同時にゲームがしたい欲求も増した。
だからこんなバカなことを考えたのだろう。
ずっとゲームをしてられるためにはどうすればいいかを。
ひたすらに考えた。考えに考えまくった結果……
“俺がゲームすることを正当化させる”という考えに至った。
そこからは早かった。正当化させるには、なにか結果を残さないといけない。
だから“ゲームの大会で優勝しようとなった。
ゲーム大会で優勝できる実力を持つと示せれば、無理に俺からゲームをたらないだろうと!
すごい単純だが単純だからこそ分かりやすく、頑張りやすかった。
そして俺はゲーム大会で優勝するためにあらゆる時間を削った。
通学時間を削るためにバス通からチャリ通へ(現在は睡眠時間になっているが……)。毎日入っていた風呂をシャワー(2分)で済ませ。睡眠時間も………ってしたかったんだが、睡眠足りてないと集中力落ちて元も子もないのでそこはしっかり6時間睡眠。それ以外の時間は全て練習時間に注ぎ込んだ。
そして俺が気になる俺が大会優勝を目指したゲーム名は………今でもやり続けている第五人間だ。
このゲームを選んだ理由は単純明快! ゲーム機を用いないからだ!
この第五人間はPCやタブレットやスマホのゲームアプリ。
スマホでゲームをすれば、スマホをいじっている風にしか見えない! と……じゃあスマホでゲームすればいいじゃないかと思うだろう。
いろんなゲームがしたいだろ! そのためには大会で優勝するしかないんだ!!
スマホは没収されなかったのか? という疑問が浮かぶと思う。
……それがな……されなかったのだ! ゲーム機でゲームをする時間はアレ以降徹底的に管理されたがスマホは連絡するためにと没収されなかった!!
あの時は本当に親がポンコツで感謝したものだ。
そしてもう一つ。このゲームにはハンター陣営とサバイバー陣営で分かれる。サバイバー陣営は4人で協力するチーム戦だが、ハンター陣営は1人。
個人戦だ。
そしてこのゲームはプレイヤースキルが高ければ高いほど勝てる。実力ゲーなのだ。
これがいちばんの理由かもな。
実力ゲームって、やりがいあるやん?(ニヤ)
というわけでありとあらゆる時間を第五人間と過ごした。
だが早々に俺は壁にぶつかってしまった。
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過去編入ります。
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