第59話 浅羽摩利の苦悩(1)

 *浅羽副社長*


 「……これはもうどうしようもない」

 「そ、そんな゛ぁ……」

 「「「…………」」」


 私は今回のコラボに関わっている秦李京香、小平奈緒、江東響、佐川由里子を呼び出した。

 理由は明白だ。炎上の件である。


 最爽が勝手に暴露して少し経った後、騒ぎに気づき配信を閉じた。


 配信を切った後もコメント欄は。


 《なんかこれ、昔見たぞ〜?》《この流れな〜笑》《デジャブですわww》《マジ笑えるんだけど笑》《また配信プツ切りで逃げるんですか〜》《逃げんなよ〜》《逃げるな! 卑怯者!》《アニメのセリフ使うやつ大抵謎な場面で使うけど、今回に至っては正しいな》《ガチで卑怯者》《人を蹴落として成り上がった気分教えてほしいわ》《罪悪感でも抱いてる?》《クソがそんなもの抱くわけないやろ、思ってもラッキーってことぐらいだろ》《違いねぇーな》


 と言った具合である。この燃え上がりはもう止められないだろう。


 炎上で最爽エリーのチャンネル登録者は増えているが、このほとんどはアンチだといってもいいだろう。


 これにより最爽エリーの活動生命は絶たれた。


 「この炎上はどうしようもありません。江東さん……あなたとの契約はこれをもって打ち切ります」

 「そ、そんな!? 待ってくださいよ! どうにかならないんですか!? 向井の時もなんとかしてくれたじゃないですか!」


 あれはあのタヌキがバカだったこと。急遽なオフコラボ配信だから向こうのマネージャーが見てなかったからできた芸当だ。

 そう簡単にできてたまるものか。


 「諦めてください。それにそれを言うなら一度チャンスを与えています。それなのに自らフイにしたのです。こちらからは何もすることはありません」


 本当に馬鹿らしい。せっかく私がいい舞台を用意してあげたのに、自分で自滅して……


 「せっかく私が向こうのアホ狸と話つけてやったってのになんで自分で暴露しちゃうんですかね……ラピスベリーのブランドが……」


 本当にどうしよう……最爽の処分は片付いたところで事後処理が一番の問題だ。

 あのタヌキを“騙して”隠蔽した事実が掘り起こされた。こうなると最爽だけに責任を押し付けることはできない!

 本当にどうしてくれるんだダァぁ゛!!

 

 手元のスマホのツウィッター画面を見る。


 《最爽クソすぎ〜》《けどさ、最爽はクソだとして“ラピスベリー”もやばくない?》《それな、会社がこの事実知らないわけないし隠蔽に関わってるってことだろ?》《会社絡みかよw》《配信者第一をモットーが笑えるww》《他社の配信者潰して、助けてるからある意味w》《カス会社すぎる》《結構幻滅》《好きな会社だったのにな》《しっかりとミスを認められる大人が上におらんのやろうな》《ズルしてどんどんのしあがっていったんだろうな》《そんなカスがのしあがっていく世の中ってな》《腐ってんな》《世の中そんなもんだよ》


 最爽だけでなく、ラピスベリーにも飛び火していた。

 クソが!……もうこれはどうすればいいんだぁぁぁ!!


 今回は入念な打ち合わせ、マネージャー同行と至って普通の場面。向こうのマネージャーが来てなかったらワンチャンあったのに……


 いくらタヌキがアホだからといって現場を知るマネージャーがいては意味がない……“あの時”したことはできない……


 だからこそ今回はしっかりと炎上を鎮火させるような言い訳を考えなければ!!


 あの配信現状を知る人に聞くのが一番手っ取り早い! 現場にいたからこそ何か考えてるかもしれない!! だからこそこの4人をすぐに呼び出したんだ!!

 いい案があればそれを採用しよう! 最爽を切ることは決まっているんだ! どんな意見でも聞き入れよう!!


 「今現状を一番把握しているのは君たちだ。この炎上を鎮火させる案があれば提案してくれ」

 「別に鎮火させなくて良いのでは」

 「………は?」


 な、何をいっている!? “小平奈緒”!?



 ーーーーーーーーーーーー


 次回! 小平さんなりのざまぁ決行!

 

 んでクソ副社長の苦悩は後一つぐらいあると頭の中で考えてる。

 


 

 

 

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