第30話 やると決めたら一直線!
当たり前のように寄り道をして帰る。もう寄り道を俺にとっては学校生活の一部だ。
して、乃音経由で知った俺の新たな情報。聞いてる限り、顔出し配信者としての基準はクリアしてると感じた。
・特徴は存在する顔
・低音イケボ
・見る分には好印象な俺
……改めて思い返すとて、テンション上がるな。ファンがクラスの女子と同じ反応するか定かじゃないけど、狡噛レンの配信を乃音が見てたんだ。ファンの層はかなり若いと思う。
やっぱり案外いい案なのかもしれない。
「よくあるよな。『俺は一度死んだ身、もう怖いものなんてない!』ってやつ。まんまそんな気持ちなんだよな。今」
失敗したら……まー後から考える! 俺の気持ちはもう固まっちまった!
俺はスマホを持ち、デェスコードを開く。
【方針決まった!!!! みんなが出してくれた案でもあった“顔出し配信”やってみようと思う!!
Vtuberは終わり! これからは本当の俺を見てほしい! (最爽エリーに逃げられた顔楽しみにしとけよ)
初配信は今週の土曜日! 本当に博打みたいな感じだからファン減る覚悟はしときます!笑】
というメッセージを告知のチャンネルで送る。各地のチャンネルだから俺だけしかメッセージを送れない設定にしている。
だからかわりにファンのみんなはこのメッセージに多種多様なリアクションを送ってくれた。
*小平奈緒*
今日は秦李さんと打ち合わせです。
普通は一週間に一回が普通ですが、彼女の配信の感想も兼ねて、今後どういう方針にするかを話し合うためです。
それなのに彼女は………目の前で土下座を保ってます。
「え、えっと……秦李さん?」
「本当に申し訳なぃぃぃぃぃぃい!!!」
「本当にどうしたんですかぁ!!!???」
本当に意味がわからない。頭がおかしくなってしまったのか……
「私の配信で不愉快な気分にさせて本当に申し訳ない!! 弟達にはしっかりと言い聞かせておくので何卒許していただけないだろうか!!!」
弟? あーなるほど。配信のことですね。鮫島ガブの枠で一瞬でも向井さんを誹謗中傷する話題が出た件だ。
「確かにあのときは、自作の真っ黒なノートを出すほどでした」
「………」
「けど、秦李さんの素晴らしい対応であれぐらいで収まったんです。恨むこともして感謝もしますよ」
「う、恨むこともするんですね……」
「冗談です」
実際、秦李さんの対応は完璧だった。ああいうのは通報するのに限りますが、通報するだけだとまた違うところでそういう輩は同じことをする。
だからこそ、しっかりと言葉にして伝えられた秦李さんは本当にすごい。
「こう言っちゃあれですが、逆にあの出来事があったから秦李さんの良さに気付きました。姉貴系Vtuberに恥じない言動でした!」
「う……う……かたじけない。そう言ってもらえるとすごい助かる」
こうやって言わずとも謝れるのも彼女の良さですね。本当に優しい方だ。
「はい! じゃあ気を取り直して打ち合わせしますよ!」
「おう! 頼りにしてるぜ!」
復讐するために同意した契約。今は単純に彼女を有名にしてあげたい。そう思える。
あ、復讐は絶対してやりますからねぇ……あくまで私の原動力はそれなので〜
*オープンチャット*
またも狡噛レンのオープンチャットは盛り上がっていた。
理由は当然あれだ。
〔とうとうレンの活動方針決まったぁぁあ!!!〕
〔わぁぁいいい!!!!〕
〔ひゅーひゅー〕
〔この時まで長かった……〕
〔待った甲斐あるぜ〕
〔まじ楽しみなんだが!!!〕
〔推しが復活した時のような嬉しさだよー!〕
〔うん、今回まさにそれなんよ〕
〔けどさ、まさか本当に顔出し配信してくれるとは思わなかったよ〕
〔それな!〕
〔告知見た時、二度見かました〕
〔上に同じ〕
〔結構ダメもとだったもんね〕
〔最爽エリーが逃げた顔って自分で表現してるのまじ笑ったんだけど〕
〔ほんと!笑 逆にレン吹っ切れてるから謎の安心感ある〕
〔なんかわかっちまう……笑〕
〔どんな顔か予想しない???〕
〔最爽に逃げられたってことは最爽の好みじゃなかったってことでしょ? やつの好みでかなり絞れるんじゃない?〕
〔誰か最爽の配信見てる人いない?〕
〔あんなゴミカスの配信見るわけねぇーだろ〕
〔いらぬことを聞いてしまったな〕
〔ふぁー土曜まで待てん!!〕
オープンチャットはこれまで以上に盛況だった。
さて、向井の顔はファンに受け入れられるのか!? 注目の一戦です!
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ようやく! タイトルですわ! よくやく配信始めますわ! 30話こえてやっとですわ!(これまでの内容も必要だと思ってます……長引かせてすみませぬ)
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