第19話 なんの変哲もない学校生活
朝礼が終わり、一時間目が始まるまでちょいと休憩が始まった。
「で、何使ってんの? やっぱボールトマーカー?」
「それ一択に決まってんだろ」
「え〜あれ射程短すぎね? スペシャルも雑魚いらしいし。今の環境はスクリュスロッシャーだぜ?」
「環境なんて毎回変わってく。それに環境武器なんかより俺の方が強いから俺が環境なんだよ」
「ふぅー名言生まれました〜」
高校生男子なんてちょっとした話題でアホな会話ができる。なんも意味ないけどこういうアホみたいな会話が一番楽しいんだよ。
「ま〜たアホな話してる〜! 雄馬は遅刻癖なおせよ〜」
「授業には間に合ってんだから遅刻ちゃうわ!」
あおりと話していると1人の女クラスメイトがやってきた。
名は“小田川乃音(おだがわ のね)。こいつもあおりと同じで高校からの友達だ。ポニテでちょいと切れ長な目を持っていて顔は普通に可愛い。どっちかといれば綺麗系だが。
「そういやお前ら見た!? 狡噛レンの炎上!」
先週の俺なら「俺の名前でたぁ〜やった〜」ってなってただろうが内容が内容だ。それに俺はもう狡噛レンじゃないしな。
「あーなんかすごかったよな」
「すごかったで済む問題じゃねーよ! マジで狡噛レンってやつ頭おかしいで!? 初めてのコラボでいきなり女性ライバーってのもそうだけどそれがオフコラときた! もうこれは刑務所行き案件やで? Vtuberの端くれとしてマジで出直せ! って感じだな」
「お、おう。そうか……」
あおりの煽りレベルはこの世でトップだな……俺に対して言ってないんだろうけどめっちゃ俺に刺さってます……
「蒼めっちゃ怒ってんじゃん!笑 蒼はその狡噛レンって人のコラボ相手のファンだったりすんの?」
「いやー?」
ちゃうんかい! 最爽のリスナーじゃないのにこんな感情怒ってんの!? 俺どんだけの人を敵に回したんだろ……
「けどさ〜蒼。私けっこー狡噛レンの配信見てるからさ〜あんまそんなこと私の前ではいうなよー?」
「え、乃音って狡噛って人の配信見てんの!?」
まじかクラスメイトにも俺のこと知ってる人いるんだ!
「そうだねー。コメントとかもしないしツウィッターとかも追ってないけど配信は見てるかなー。てか、なんで雄馬が驚いてるわけ!?笑」
「なんかお前のタイプじゃねーから驚いたんだよ!」
「偏見おつ〜」
そっかーツウィッター追ってるわけじゃないなら今後新しい俺の活動は知らないのか。
「いやー小田川狡噛レン推してんのか。ちなみに俺はラピスベリーの“早坂椿(はやさか つばき)ちゃん推し! なんかあのクールビューティーって感じがたまらんのよ〜!」
「うへぇ、きもちわる!笑」
「なんだと!?」
そっか、あおりは推しがラピスベリーにいるから同じ所に所属している最爽エリーも知ってたのかな。
「まー乃音どんまい。また新しい推し見つかるよ。推しは推せる時に推せっていうしな」
自分の引退を自分で励ましているという全てを知っている者にはなんともシュールな状況である。
「んー大丈夫! 新しいのすぐ見つかる予定だから!」
んーなんか悲しいでござる。あおりの時もそうだが知らず知らず本人に伝わってんだぞ……絶対公共な場で有名人のこと悪く言わんとこ……
きーんこーんかーんこーん
お、授業が始まる。
****
いつのまにか終わってました。
「お、俺が知らない間に……時間が、経過している?」
「単におめぇーが寝てただけだよ。てい!」
「あちぁ〜」
完璧なツッコミだー。座布団一枚ぐらい? 授けよう。
「雄馬、ラーメン食いいかね? 腹減ったきらーーん」
「あおり、俺もそう思っていたところだよきらーーん」
「「よし! レッツラごーーー!!」
寄り道は高校生の醍醐味である。小中学校で禁止されていたからか高校になってすごいのだ反動が。とりあえず夜8時ぐらいに帰りたいって感じになる。
「乃音はくるかー?」
「んー今日はやめとくー! 大事な用事あるー!」
「おけ〜」
「早くいこーぜ〜雄馬ー!」
ふふふふ……楽しい寄り道の始まりだー!
*小田川乃音*
小田川乃音。裏でファンクラブが設立されているだけの至って普通のJK。
彼女はものすごく熱中してしまう性格。中学は陸上に熱中し部活が終わった後もずっと一人で走り込むほど熱中していた彼女。
そんな彼女が高校生になり何に熱中しているのかというと……
家から帰り自分の部屋に入るとすぐに携帯を取り出す乃音。
開いたアプリは“ツウィッター”。見ているツイートは……
狡噛レンが初めてサークルに送ったツイート。
そう、向井がツイートしたやつだ!
彼女は向井と多岐に嘘をついていた。なんなら授業中も狡噛レンのツイートがないか30分に一回こっそり確認していた!!
「レン様……更新まだかな〜」
そんな彼女がみているツイート。
いいね10万。リプライ13万。
軽くバズってた。
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チャンネル登録者の20万超えないように数字めっちゃ考えた。(2分ぐらい)
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