第五話 ドキドキ⁉適性検査!

「こうなれば、優羽ゆうと同じハンターになってやる!」


 そう覚悟を決めて、検査を受ける。

 いつの間にか俺はハンターになることを望んでいた。


「それでは、始めていきますね」

「はい」

「あ、あの……」


 俺は、検査をしてくれる綺麗なお姉さんの前に椅子に座りながら答える。

 お姉さんは、優羽ゆうに負けず劣らないほどの強者で、心臓の鼓動が早くなるのが触らなくても分かる。

 いや、もしかすると優羽ゆうを越しているかもしれない。


 ―ボインッ


 うん、これは絶対に勝ってるな。


 俺は、お姉さんの胸部をジッと見つめながらそう確信した。

 しかし、全体のバランスと、愛してる効果で総合的には優羽ゆうの方がダントツで可愛いのだが。


「あ、あの、そこじゃなくて、こっちを見てほしいんですけど……」

「えっ⁉ こっちって……」


 お姉さんは恥ずかしそうに言うと、俺の頬を両手で包み込む。

 俺は、顔を赤らめながらオドオドしている。


「こっちです。ちゃんと見てください」


 お姉さんが優しく、甘い小さな声で囁く。



 こっちって、何処のことだ? もしかして、そういう関係になっちゃうのか⁉



 俺は、さらに顔を赤らめながらも変な妄想が頭の中に張られている。

 それと共に、ズボンから少しづつテントが張られている。

 そして、俺は唾を飲み、お姉さんの目をジッと見つめる。


「お、お姉さん……?」

「このままじっとしててください」


 お姉さんの顔が少しづつ近づいてくる。

 それと共に俺の頭の中では、お姉さんに対する期待感と優羽ゆうに対する罪悪感が葛藤している。



 俺には……優羽ゆうがいるのに……ごめん……



 抵抗できないままじっとしながら、このままお姉さんに好き放題にされると思い、心の中で優羽ゆうに謝罪をしていた。


「はい、終わりましたよー」

「……え?」

「……?」

「終わったって、何が終わったんですか?」


 俺は、何が終わったのか全く理解できていなかった。

 何も起こっていないし、俺のテントは張られたままだ。

 お姉さんは俺の質問がよくわからなかったようで、首をかしげている。


「何って、適性検査ですよ?」

「あっ……」


 ようやく理解した俺は、あんな妄想をしていた自分が恥ずかしくなり、顔を真っ赤に染めた。

 そして、テントは速攻で畳まれた。


「そ、それじゃあ、結果を伝えますね」

「あ、はい。お願いします」


 お姉さんは、俺に気を使ったのか、何もないかのように話を進めてくれた。



 ……変な妄想をしてごめんなさい。



 俺は、ようやく落ち着きを取り戻し、話を聞く姿勢を取る。

 俺は神に「適正がありますように!」と心の中で何度も祈る。


「廻神 進さんは……」

「……」


 一瞬の溜めがあり、緊張感を増加させる。


「おめでとうございます! 適正ありです!」

「よっしゃぁぁぁぁ!!!!!!」


 俺は、高校入試の合格発表くらいの嬉しさを感じていた。

 お姉さんは、笑顔で拍手をして、俺の認定を祝福してくれている。


「それでは奥の部屋へとお進みください」

「はい……って、奥は壁ですけど?」


 俺は、ただの壁を示されて戸惑い、お姉さんに間抜けた声で尋ねた。

 すると、お姉さんは不思議そうな表情をしたが、すぐに元通りになり、説明をしてくれた。


「この壁に触れると、別の場所へとつながっております。そこには、今日の認定者が集まっています」

「あ、そうなんですか。ありがとうございます」


 説明を聞いたが、あまりピンとこないので実際に壁に触れてみることにした。


「ただの壁にしか見えないけどなー。まあやってみるか!」


 そうして俺は、ただの壁にそっと触れた。

 すると……


 ―キュゥゥゥゥ!!!


「うわ! 眩しすぎる!」


 音と共に、俺の視界が急に光で真っ白に染まり、目を力強く瞑った。

 そして、音が無くなり、光も消えたので目をゆっくりと開けた。

 すると、目の前にあった壁が無くなっていた。


「本当に移動したのか? 凄いなぁ」


 そして、目の前にはパーティー会場の様な雰囲気の部屋に三十人ほどの生徒が集まっていた。


「お、しんだ! こっちにおいでー!」

しん君も認定されたようだね」

「当ったり前だろ!」


 優羽ゆう愛人あいとが俺が移動してきたことに気が付き、手招きしている。


 高校の青春は失ってしまったんだ。

 それなら、ハンターの世界で青春を創り出してやるぜ!


 俺は、意気揚々とと二人の元へと歩いていった。



 ◆



「そんな真剣な顔をして、どうかしたの?」


 職員の女性が、しんの検査をしたお姉さんに声を掛ける。


「最後に検査した子、ハンター適性はあったんですけど、どうやらゲートが見えなかったんです」


『最後に検査した子』それは、しんのことである。

 本来であれば、ハンター認定された人はスタッフが作る移動のゲートが見える。

 しかし、しんは見えなかったので、異変を感じており、考えていたのだ。


「まだ、ハンターとしての能力が完全ではないのではないか? それに、ハンターの適正はあったのだろ?」

「はい。弱かったですけど、反応はちゃんとありました」

「なら大丈夫だろう。気にする事はない」

「そうだといいですけど……」

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