異世界 二つの王国の開拓編

第11話 ナルト王国の鉱山探しと公園造り。

 やっと6才になりました。そして女湯の混浴から開放されました。でも、男湯に替っても妹達が男湯に入って来るので、父さまが喜んでいる以外はあまり変わりません。

 領外から研修者達がやって来ましたが、各々の担当者に任せているので、俺達のやることはありません。

 少し遅くなりましたが、俺とシルバラがナルト王国に行く日がやって来ました。

 ミウを含めた妹達は、とってもさみしそうですが、秋には帰ってくると言って別れました。



 ナルト王国の湊に着くと、ワンピースの海賊船、山鹿灯籠の「 ゴーイング・メリー号」 を模した髑髏旗とシルバラ王女の旗を掲げた俺達の船は大人気で、湊で大勢の人達に迎えられました。

 わざわざ湊には、トリアス王子が迎えに来てくれて、俺達を馬車に乗せてくれた。

 ナルト王城へ向かう道すがら、俺達がいない間のナルト王国の様子を聞くと、北部や中部でもプレハブ工法のおかげで家々の建築が進み、随分家が増えたそうだ。

 それに米の他に小麦の栽培が始まり、二毛作を始めて食糧事情の未来も明るいようだ。


 王城に着いた俺達はナルト王やベクト宰相、それに10数人の大臣達に迎えられて寛ぐ暇もなく、これからの開発の話し合いになった。


「父上、私はグランシャリオ領にいて、製塩や農作物の栽培が、進んだ方法でされているのに驚きました。それだけではありません。漁の仕方も大きな網で行い、農作物の収穫や畑の開墾に便利な農具を使っているんです。

 それに比べると、ナルト王国は、まるで時代遅れの文明の国に見えます。

 ジル君のグランシャリオ領は、トランス王国でも飛び抜けて進んだ農漁業や生活用品を使って領民の生活を豊かにしています。

 そして、この春から王国各地から、研修者を受け入れ、すぐれた技術を広めているんです。

 我がナルト王国からも、今すぐ研修者を派遣するべきです。」


「そうか、しかしグランシャリオ領は、外国。我が国が、研修者を派遣して受け入れて貰えるのか。」


「ジル君、問題ないわよね。だって領民の生活を豊かにするのに、障害なんてないわよね。」


「うん、全く問題ないよ。

 国が違ったって、すぐれたことは学びあって国を豊かにすればいいと思う。国力を高めて、他国を侵略するようじゃ、お門違いだけどね。

 王さま、今すぐ人を送れば研修に間に合いますよ。父さまに手紙を書きますから、持たせてください。」


「むぅ、シルバラを婚約させて良かったわい。おかげでグランシャリオ領とは、親戚付き合いができる。

 そうじゃ、トリアス。研修は、お主が率いて行って来い。義弟の領地を見て学んで来い。」


 そんなことで、急遽、トリアス王子が率いて100名のナルト王国からの研修者が派遣されることになった。

 選抜された研修者は、文官から農漁者、各種職人に至るまで幅広い者達だった。


「トリアス王子、妹達にお土産を頼みます。

街で見かけたぬいぐるみです。まだ幼いので、可愛いものを喜びます。」


「わかったよ、俺にとっても義妹達だ。二人がいなくなって、さみしがっているだろうから、俺がちゃんと面倒を見るよっ。」


「頼みますよ、義兄にいさんっ。」


「任せておけっ。はははっ。」




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 ナルト王国の開拓は、トリアス王子と研修者達に任せて、俺は鉱物資源開拓に取り組んだ。

 ナルト王国は、火山の島国だけあって南部地域だけでも、金銀銅山、鉄鉱山、硫黄、石灰岩などなど、次々と見つかった。

 鉱山担当大臣は大喜びだが、これまでにない目が回る忙しさにくたくたになっている。


 俺は、採掘された石灰岩から、農業用肥料とコンクリート製造工場を造った。

 さらには、王都郊外に高炉を建設して製鉄を開始した。漫画の知識しかない俺は、悪戦苦闘の連続だったが、魔法を駆使してなんとか完成させたのだ。(褒めてほしいっ。〘涙目。〙)


 コンクリートを使い、国内3港の岸壁の建設も行った。3ヶ月も掛かったけど、これでいちいち小型船に積み替えることなく、大型船から直接荷降ろしができる。


 金銀銅などの財宝は、財務大臣所管で採掘が行われている。戦後の復興やインフラ整備の資金ができて、財務大臣はほくほく顔だ。

 それより、中部地域で石炭鉱脈と石油の油田が見つかり、俺は大感激だ。大型のタンカーを建造しグランシャリオ領に輸出してもらおう。




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 シルバラの案内で、中部北部の地域を見て回った。護衛の騎士や侍女達もいるので、馬車が8台の大所帯だったが、各地で大歓待を受けて酒の飲めない宴会に辟易した。

 中部北部の町でもプレハブ工法で建物が増えたとは言え、町並みは街道に沿って細長く延びていて、城下町も曲がりくねった道ばかりで、甚だ発展性に乏しかった。


 そこで俺は、主な町の都市計画図面を引き、碁盤の目の広い道路に沿って町並みを改修するように提案した。

 新しい道路に掛かった家々は、移築又は立直しをすることし、その費用は国で負担する。

 道路はコンクリートで舗装し、両側には下水道を設ける。

 町の区画を定めて、商業地域、職人工房街、その他、公共施設街、公園区画などに分けた。

 この改修には1年くらい掛るだろうが、改修がなれば、効率的な町の発展が望めるだろう。


 俺とシルバラは、公園造りに力を入れた。この国にも公園などいう概念がなく、自然の森や林があるばかりだったが、森の木々を間引き、

草を刈りそこに芝草を植える。

 公園内を周回する遊歩道を巡らせ、花壇や東屋、ベンチや井戸を設ける。

 場所によっては、ブランドやシーソー、アスレチックなどの遊具施設も作った。

 自然の池や小川を取り入れて、鴨や渡り鳥達がやって来る公園もできた。


 そうこうしているうちに、半年があっという間に過ぎ、グランシャリオ領に戻る日がやって来た。

 トリアス王子と研修者達は一足先に帰国して忙しく内政改革に掛かっている。

 俺達に同行する護衛や侍女達も交代し、初めて国外に行く者も多く、そわそわしている。

 

「父上、またしばらく行ってきますね。お体に気を付けてお過ごしくださいね。」


「わかっとるわい。酒を慎めと言うんじゃろう。お前が言うたんじゃろう、侍女達がうるさく言うとるわい。」


「ははっ、義父上。戻りますので引き続き頑張ってくださいね。」


「うむ、ジル。ようやってくれた。トリアスも戻って来たし、半年後が楽しみじゃ。

 シルバラのこと、頼んだぞ。」


「はい、お任せください。」


 こうして、俺とシルバラは母と妹達にいっぱいお土産を持って、帰郷したのでした。

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