第8話 ナルト王国の戦後と、婚約指輪。
取り敢えず、ナルト王国の危難は救った。
俺にとっては、お世話係を仰せつかったシルバラ王女へのお世話の一環だったけどね。
問題は、焦土と化したナルト王国の城下町の再建だ。
そこで俺は事後の報告もあり、ナルト王から父さまにお礼を伝えたいとの要望もあり、皆と一旦グランシャリオ領へ戻ることにした。
普通なら半月も掛かる海路だが、俺の魔法で風を操り、1週間で帰り着いた。
すぐさま、父さまに一連のでき事を報告し、焦土と化した城下町の再建のために、領内にいる大工職人や調理人達を引き連れて、父さまと共にナルト王国へ向った。
グランシャリオ領の大工職人を連れて行ったのは、既に広めていたプレハブ工法をナルト王国の職人にも広め、冬の寒さが迫る城下町住民のために家々の再建を早めるためだ。
それと、小麦や芋などの食糧と共に調理人達も連れて行ったのは、パンやピザの他にうどんやパスタの麺打ちを広め、主食のメニューを増やして、戦後の食糧難を乗り越えるためだ。
ちなみに、ナルト王国の主食は米であって、蕎麦や稗も貧しい人々の食糧となっていた。
10日後にナルト王国に戻ると、城下は更地となっていた。この機会だからと、メインストリートを中心に碁盤の目の街づくりを提案し、さっそく、プレハブ工法の家々を建設開始し、道路や橋、役所や病院、学校、市場、公園などの公共施設は、俺の土木建設魔法を使ってどんどん作った。
その結果、わずか1ヶ月で見違える程の城下町の再建がなった。ナルト王を始めとした王城の人達は、その有り様にドン引きであったが。
画期的とも言える城下町の落成記念式典が町の広場で開かれ、そこで大勢の住民が見守る中で父さまと俺達は、ナルト王から感謝の言葉と勲章を賜わった。再建に携わった職人一人一人にだ。皆んな誇らしく笑顔を浮かべている。
周りの住民達からは、歓声と拍手の渦だ。
その後、王城の広間で感謝の晩餐会と送別会が開かれた。
「アルファロメロ殿、貴殿を我がナルト王国の名誉伯爵としたいが、受けてくれるか。」
「はあ、我がトランス王国の国王陛下に許可を頂かねばなりませんが、名誉なことですので、そのあかつきにはお受けしたいと思います。」
「おおっ、そこもとのグランシャリオ領とは、今後親しく交流を深めたいと思っている。
ついては、そこもとの嫡男のジラルディ殿に娘のシルバラを嫁がせたいのだが、受けてもらえるかな。」
「はあっ? うっ、うちは僻地の騎士爵家でございますよっ。そっ、それなのに、王女殿下が嫁ぐなど、、、。」
「これは、シルバラたっての願いなのじゃ。
ジラルディ殿はどうかの。」
えっ、えっ、俺はまだ5才だよぉ〜。シルバラ王女も同い年だけどっ。早すぎないか。
「俺はまだ5才の子供ですっ。婚姻など10年は早いかと。」
「そなたの叡智力量は、皆の知るところじゃ。
もちろん、今は婚約に留めて婚姻は成人してからということじゃ。
どうじゃな、シルバラでは不満かな。」
ずるいよ、こんな大勢の人前で、王女殿下が不満なんて言える訳がないじゃんっ。
まあ、けっこう一緒に過ごして、美少女だし性格も好ましいとは思うけどさ。
「はぁ、異存などありませんが。」
「よしっ、決まりじゃっ。ジラルディ殿とシルバラの婚約成立じゃ。」
広間の出席者が皆一斉に拍手して、俺の婚約が決まってしまった。
なんかお世話係をさせられた時から、予感のようなものはあったんだよね。でもまさか本当に実現してしまうとは思わなかったよ。
その後いろいろ話し合いがあって、半年毎に俺とシルバラ王女がナルト王国とジラルディ領を行き来することになった。
なんのことはない。俺とシルバラ王女はずっと一緒ということだ。
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ナルト王国での一連の行事を終えて、グランシャリオ領の館に帰宅した。
父さまと俺は、同行したシルバラ王女を連れて、母さまに婚約したことを報告した。
「まあ、まあ、まあっ。シルバラちゃんが私の娘になってくれるのねっ。
素敵っ、素敵っ、大歓迎よっ。」
どうやら母さまは、俺の嫁とか忘れて、娘ができたと喜んでいるようだ。
もしかしたら、まだ赤ん坊のミウに代わって女の娘の着せ替えができると喜んでいるのかも知れない。
「えっと、よろしくお願いします、お義母様。
私は幼い時に母を亡くしたので、お義母様ができてとても嬉しいですっ。」
「まあ、なんてことでしょう。シルバラちゃんはまだ幼いのだから、うんと私に甘えてね。
ミウもお姉ちゃんができて、良かったわねぇ。将来は、私を含めて美人三姉妹よっ。」
母さまは、何か妄想しているようだが、シルバラ王女を可愛がってくれるようだ。
「そうだわ、ジル。これをあなたに譲る時が来たわ。これは、私のお義母様からアルが譲り受けて、私が貰った婚約指輪よ。
これをジルから、シルバラちゃんに嵌めてあげなさい。」
それは、小さな真紅のルビーの宝石が付いた指輪だった。
母さまから受け取り、シルバラの小さな手の指に嵌めると、魔法が掛かっているのか、指にぴったり収まった。
シルバラは、頬を赤く染めて嬉しそうに微笑みを浮かべたのだった。きっと、彼女はこの日のことを忘れることはないだろう。
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トランス王国の王城へ、一連の報告を行ったところ、隣国と友好を結ぶことは好ましいことだとの回答があり、また、父さまの行いを讃えナルト王国の名誉伯爵の授爵を許可した上で、トランス王国でも男爵に昇爵されることになった。
そのため、父さまと俺はシルバラ王女を伴いトランス王国の王都まで出向くことになった。
グランシャリオ領から王都に行くには、険しい山脈を越え、馬車で3週間も掛かる。
そこで考えた末、大型の飛行艇を造ることにした。
木の骨組みに、防水の
動力は俺の風魔法なので、そう簡単には模造できないだろう。
飛行船のおかげで、わずか三日で王都に到着した。王都の広場に着陸すると大騒ぎになったが、構わず王城へと出向いた。
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