与謝蕪村「菜の花や月は東に日は西に」について

森エルダット

第1話

 与謝蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」って句があるんです。これ、普通は菜の花が咲き乱れるなかで、空には月と太陽が同時に登っている情景が綺麗な景色だなあみたいな感じで解釈終わってるらしいんですけど、私は、それを聞いた瞬間、は??????💢💢💢って感じの、厄介解釈違いオタクになった。

 私は、これは無常観の句だと思う。月は西に落ちていくし、日は東から登ってくる。それが同時に起きている最中に、菜の花は咲いている。だけど、それもずっとじゃない。月と日が繰り返し繰り返し登って落ちてを繰り返す中で、菜の花は枯れて、また新たな菜の花の蕾がつき始める。無常観の句というと、例えば芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」みたいに、その寂寥感をガンガンに押し出したやつが多い気がするけど、この句で「や」で詠嘆されているのは、夏草とかではなくて、菜の花だ。かわいらしい黄色で、かぐわしい匂いをあたりに放流する、凛とした花だ。その背景の空に、今にも沈みそうな太陽と、今登ってきた月が出ている。菜の花はいつか枯れ落ちて、また新しい花が生えてくる。これはすっごく、通時代的だし、また全ての存在しているキラキラしたものに通底していると思う。例えば、このユクーリだって、私はクッソ依存してるし、めちゃくちゃいい場所だと思ってるし、たくさんの親身になれる優しい人、面白い人、辛さを抱えた人、ロックな人、いろんな人がいて、私はそれがすごく好きだけど、でもこのサーバーだっていつかはなくなって、ここから離れた個々人だっていつかは亡くなる時が来る。今夜もあと数時間もすれば月は西に落ちて、日は東から登るんだから。それでも、その月と太陽が同時に出ている時間にも、今日は、いつもみたいにみんなユクーリしていたなあと思った。

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