「月光」
真っ暗な道にいた。
命令されているように見えるそこに立ち続ける木々。
それに沿うようにそして交わることのない白線。
そして白とも黄色ともつかない、月が照らしている。
今ならきっと誰も知らないうちに消えてしまえる。
そんな風に思える夜だった。
何も言わない。何も言えない。
僕らはただずっと、手を繋いでいた。
そっと柔らかく君が笑う。
「永遠なんてないんだよ。」と。
そんなこと言われる前から知っていた。
でも君が言うから信じてみたくなる。
君と手を繋ぐ夜の月はいつも綺麗で
「そうだね。」と私はつぶやく。
これでいいんだと思った。これでもいいんだと思った。
真っ暗な道を月を背にして歩く。
今は。独りで。
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