精神病になったのでとりあえず人生振り返り

@ss9

誕生……ターザン……子牛との格闘

私は長野県某所の田舎も田舎で誕生した。周りは田んぼ、畑、100メートル離れた先にポツンと建つご近所さん。近くのスーパーまでは車で20分、我が道をゆく方々の車がミサイルのように飛んでいく農道や公道。


そんな田舎で私は育った。


生まれた時からネフローゼを患っていたが、遊び場は山の中、ターザンに憧れて、崖を登ったり、木を登ったり、太いつるでターザンのように叫び遊ぶ野生児。


そんな私の家はおじいちゃんが牧場をしていました。


朝早くから牛の世話をして乳を絞る。


私は子牛の世話を手伝っていました。


子牛が生まれた時から私が世話をしていたので、私の言うことをとても聞いてくれる良い子でした。


「お手」


と言えば、左前足を私に差し出してきてくれました。


「お座り」


と言えば、体を伏せて私の差し出す手を舐めてくれます。


牛の舌はざらざらしているので、痒いところを舐めてもらうと自分でかかなくて良いので、とても便利でしたね。


「ああ~そこ~」


しんちゃんの真似をよくしてました。


終いには、


「いやん!もう…バカン…そんなに舐めてどういうつもりなのよ。もう…ちょっとだけよ…あんたも好きね♡」


牛と戯れていました。


ただ、そんな子牛もミルクを持っていくと目を変えたように私の持つミルクの入った哺乳瓶に向かって突進してきます。


「ふぐっ!」


私は、それを受け止めてからミルクをあげていました。


心の中ではハッケ良い!の合図が、


子牛はミルクを飲んでいる間も押してくるので、お互いに押し合って体勢を保ちます。


「くっ!負けるかぁ!」

「ぐっふぐっむっ」


いっぱいいっぱいの私と余裕の子牛


「ぐふっ」

「ほぎゃっ!」


終わりの合図は子牛が飲み終わって私がそれに気づかなくて転ぶところまでがいつもの流れ。


「いったーい!……この!」


毎回首の辺りをこちょこちょするのが最終手段でしたが、子牛には効かず


「モーウ!」


嬉しそうに鳴きながら頬を舐めてくる子牛。


「うう……ありがとうよ……負けた」


と肩を落とす私。

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